66:この世界に来た意味 ページ18
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ハンゾーさんが去ると、次はポックルがこちらへ向かってきた。
「さっきは感情的になってしまい、すまなかった」
「いや、私の方こそ非礼を詫びよう」
「気にするな、あんたが正しいからこそオレもムキになったんだ。まさかあんな不完全な形で合格するとは思っても見なかったからな……なんか散々な負け方もしたし」
じろり、ポックルが私を睨んだ。いやほんとごめんて
「だが、もうふっきれた。せっかく受かったからには最大限利用する。問題はこれから何を成すかだからな」
『うんうん、流石ポックル!そのまま総理大臣目指してこ!』
「お前適当に喋ってないか?」
なんて仲良く会話をしていると、たった今……あることを思い出した。
……筆箱、教室に忘れてきた気がする!
『ごめん!忘れ物したからちょっと取りに行ってくる!』
「ん?ああ、気をつけろよ!」
レオリオの言葉に頷いて走り出す。
早くククルーマウンテンに行かなければ。
そう思い、急いで廊下を駆け抜けていくと───
「君、少し待ってくれ」
呼び止められて後ろを振り返れば、ボドロさんの姿があった。
『ボドロさん!!』
改めてこうして生きている彼を見ると、嬉しさで胸がいっぱいになる。ボドロさんなら、きっとこれから良いハンターになるだろう。
「最終試験の礼を伝えたくてな。君には本当に感謝している。この恩はいつか必ず…」
『いえいえ、そんなの大丈夫です!私はボドロさんが呼吸していればそれだけで幸せなんで!!』
「随分と変わった幸せだな…まあ、何かあれば連絡するといい。出来ることがあれば力になろう」
ボドロさんはポケットからメモ帳を取り出すと、連絡先を書いて私に紙を差し出した。
「正直…君は受験者の中で一番弱いと思っていた。最初は、一次試験を突破するとも思っていなかった。だが…君には何かあるのかもしれないな」
ボドロさんの口元は髭で隠れていたが、それでも口角が上がっていることが確かに分かった。ボドロさんの笑顔も見れたのなら、私はもう大満足だ。
彼が去ってから、私は連絡先の書かれた紙をじっと見つめる。
……この世界で自分が誰かを助けられるなんて、思ってもいなかったな。
もちろん、何度も死にかけては大変な目にあったし、ゴンたちに迷惑をかけてしまった瞬間もたくさんあった。けど、こうしてボドロさんを助けられたのなら……私がこの世界に来た意味はあったと、思ってもいいのかな。
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温故知新(プロフ) - 柏餅さん» わわ、いつもありがとうございます〜!!🥲💖愛されと逆ハーは永遠です……!!! (4月13日 16時) (レス) id: a95c51921b (このIDを非表示/違反報告)
温故知新(プロフ) - おじいちゃんパンチさん» 本当に一周されたんですか!?!??めちゃめちゃ嬉しいですありがとうございます…!!😭🙏💖コメ主さまこそ優しさの天才です🥲💖💖 (4月13日 16時) (レス) id: a95c51921b (このIDを非表示/違反報告)
柏餅(プロフ) - 夢主ちゃんいろんな人に好かれてるの好きすぎます😭 (4月12日 19時) (レス) id: 55951e8f98 (このIDを非表示/違反報告)
おじいちゃんパンチ - いや!!もう一周してきたけどハンター試験編は温故知新様のが1番面白いな!!天才かよ!!!天才だったな!すんまそんっっ!!! (4月11日 7時) (レス) id: 8e40b31507 (このIDを非表示/違反報告)
温故知新(プロフ) - まめさん» 嬉しい…!😭💘心臓爆発のご報告ありがとうございます!!!(?)カルトちゃんの可愛さや魅力を少しでも書けていましたら、夢書きとしてもオタクとしても大変嬉しいです…! (4月11日 6時) (レス) id: a95c51921b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:温故知新 | 作成日時:2024年2月1日 18時