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私達は途中にあった階段に座り、お菓子の袋を開ける。
最初に手に取ったのは、小さなクッキーの箱。
普通のチョコクッキーらしいけど、何がイタズラなんだろう。
ケ「これね、箱の中に呪文が書かれたカードがランダムで入ってるんだよ。色変え魔法、味変え魔法、浮遊魔法とかの呪文」
『え、高校で習うような魔法が使えるんですか?』
ケ「詠唱が省略されたやつだから誰でも出来る。詠唱が簡単な分、効果もすぐ切れるけどイタズラだから十分ってわけ!」
『じゃあクッキーはイタズラ魔法の練習用?』
ケ「そゆこと!」
ケイト先輩はクッキーの箱を開けて、カードを取り出す。
カードには“味変え魔法”と書いてあった。
私はそれを横目にクッキーを口に運ぶ。
ケイト先輩はペンを私に向けて何か囁いた。
ケ「……石鹸味に変われ!」
『んぐっ!?』
さっきまでチョコの味がしていたのに、急に石鹸特有の甘い爽やかな匂いが鼻に入り、苦味が口いっぱいに広がった。
不味い。
けど、そんな苦味も数十秒経つとスっとなくなった。
効果が切れたんだ。
なるほど、これぐらいならイタズラには良いのかもしれない。
次に私達が取り出したのは、2つの小袋。
片方は“Salamander gum”と書かれ、もう片方は“Skin candy”と書かれてあった。
ケ「サラマンダーガムは少し辛い。食べると微熱くらいに体温が上がるから、仮病の時よく食べてたなぁ」
ケ「スキンキャンディは食べるとキャンディの色によって肌の色が変わる。ガムと青いキャンディを合わせたら病人の完成ってわけ!」
ケイト先輩はイタズラ好きの少年のように笑い、試しに緑色のキャンディを食べた。
『…なんか、気持ち悪いですね』
ケ「ひどっ!」
ケイト先輩の顔は、薄ら緑色になっていて人の肌にはかなり気持ち悪い色をしている。
それ後もあーだこーだ言いながらお菓子を食べていると、空が赤色から灰色に変わろうとしていた。
私はちゃんとケイト先輩に寮まで送ってもらう。
ケ「めちゃ楽しかった、じゃあねAちゃん!」
『はい、さようなら…』
私は少しづつ遠ざかっていくケイト先輩の背中を見つめる。
『ケイト先輩!』
ケイト先輩はすぐに振り向く。
『私も楽しかったです!おやすみなさい!』
ケ「えっ、」
それだけ言い残し、私は寮へと入った。
ケイト先輩の顔は、赤色のキャンディを食べたくらい赤くなっていた。
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ありす - ケイト推しなんですが!とてもいい作品で今まで見てきた作品の中で1番ケイトがケイトしていて凄かったです!ケイトの少し内気?なところとか書かれていて作者様はすごくこの作品に力を入れられたんだなと思いました!これからも頑張ってください!!!!!! (2021年11月26日 22時) (レス) @page47 id: 189a76a90f (このIDを非表示/違反報告)
何処にでもいるただの馬鹿(プロフ) - コメント失礼します。このような神作品を読めてめちゃ嬉しいです(●´▽`●)オープンチャットに入らさせていただきます<(_ _)> (2021年7月7日 22時) (レス) id: ec2dc24a29 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - オワー?!!!久しぶりにこんな素敵な作品に出会いました〜;ありがとうございます;; (2021年6月25日 21時) (レス) id: 01d4ee8d39 (このIDを非表示/違反報告)
シャーペンの芯(プロフ) - 今更ですが、全て読ませていただきました…!すごく素敵な作品に、心が浄化されました(笑)こんな神作品を紡いでくださり、本当にありがとうございました。 (2021年3月14日 22時) (レス) id: 4eed4f74a9 (このIDを非表示/違反報告)
ST80879379(プロフ) - 続きがめっちゃ気になります (2020年10月29日 23時) (レス) id: 0af497960d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:銃狐 | 作成日時:2020年8月4日 0時