【鋼の錬金術師】翡翠の錬金術師

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かつて新興宗教によって栄えた街、リオール。


今やその面影は消え、怒り、憎悪、嘆き、
それらが混ざり合った暴動だけが、その街を支配していた。


「どう言うことだ…教主は…本物のコーネロ教主はどこへ行った！？」


教会の、師兄の男が声を荒げる。

その視線の先には、三つの黒い影があった。


「…どうする？」

「化け物だってさ、失礼しちゃうよね」

「食べていい？」



二つの影は、顔を見合わせた。





「そういえばさぁ、イーストシティのショウ・タッカーが殺されたって」

「タッカー…嗚呼、綴命の錬金術師。」



会話の背後で、骨が砕ける音がする。



「いいんじゃないの別に、あんな雑魚錬金術師。」

「タッカーのことはいいんだけどさ、また例の”奴”なんだよね。」



影の女の目つきが鋭くなった。



「…イーストシティって言ったら焔の大佐が居たかしら」

「そ、ついでに鋼のおチビさんも滞在中らしいよ。」

「鋼の…私達の仕事の邪魔してくれたのは腹が立つけど、死なせるわけにはいかないわね。大事な人柱だし。」


「あーあと…翡翠のお嬢ちゃんも居るらしいよ。」

「へえ、あの野良猫ちゃんが？あの子を殺されるのは一番困るのよね…」



影の両の眼が、怪しく光る。


絶対に邪魔はさせないと、強い意志を宿して。




「あの子は大切な、”鍵”なんだから」

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