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あれから数日。
夕方にエドとアルと会って話をするけれど、彼らはニーナとアレキサンダーに遊びをせがまれることもあって、資料検索はあまり上手くいってないらしい。
でも、遊ぶことは満更でもないんだろうな、と思う。
それを話している時の彼らの顔には、幸せそうな微笑みが浮かんでいたから。
私はというと、東部一の図書館であるイーストシティ図書館で時間を潰していた。
なにか新しい本が増えてたらいいな--とは思ったけれど、そんなものは一日二日で読み終えてしまって。
今は、図書館に置いてある地方新聞のバックナンバーをとにかく読みまくっている。
(…これは一雨来そうだなぁ。)
今日も席につき、新聞を広げながら窓の外に目を向ける。
空は厚い雲で覆われていて、今にも雨が降り出してきそうな、暗い風景が目に映った。
さてさて、面白い記事でもあるかな--と新聞の見出しに目を向けたその時。
図書館のドアがばたん、と大きく開いた。
「---Aッ!」
『…え、ハボック少尉?どうしたの、』
さっき来たばっかりなんだけど、と迎え担当のハボック少尉に声を掛ける。
息は上がっていて、図書館の人も何事かとばかりに私とハボック少尉を見比べていた。
「今すぐ来い、早く!」
『っちょ、少尉、せめて説明して』
少尉がぐい、と私の腕を引いて歩き出す。
軍人、しかも男の力に適うことも出来ず引っ張られる私は、状況がわからないまま彼について行くしかなかった。
せめて、と状況を説明するよう彼に訴える。
--出てきた言葉は、耳を塞ぎたくなるような事だった。
「--ショウ・タッカーが、娘と犬を使って合成獣を錬成した。」
『は…』
その宣告は、
よりによって、今。
あの兄弟が行ってる間に起こるなんて。
『…だから、あの人は苦手だって、あれ程言ったのに』
「んあ?」
『…何でもない。』
私の呟きは、
雨の音に混じって消えた。
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キース - 更新頑張って下さい!とても面白くて大好きです! (2020年10月21日 21時) (レス) id: 7e1a44873b (このIDを非表示/違反報告)
アギト - そういえば、idって同じ数字にもなるんだね。 (2019年7月23日 10時) (レス) id: ef60878955 (このIDを非表示/違反報告)
アギト - 日向さんこんちゃーす。私もこの作品の続きが気になって確認してました。 (2019年7月23日 9時) (レス) id: ef60878955 (このIDを非表示/違反報告)
日向クロ - 続きが見たいです。心から!! (2019年6月21日 17時) (レス) id: 24db1a3b4c (このIDを非表示/違反報告)
日向クロ - これ取っても面白いですね。ときどき探してみています。ちなみに私も作品をいろいろ書いています。 (2019年6月16日 15時) (レス) id: 24db1a3b4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神菜 | 作成日時:2019年1月31日 19時