13. ページ13
東方司令部、大佐の部屋。
「今回の件でひとつ貸しができたね、大佐」
『あ、私もできたね』
「……君達に借りを作るのは気色が悪いな」
大佐が自身のデスクに座って、私とエド、アルも用意された椅子に座って話していた。
「いいだろう、何が望みだね」
「この近辺で生体錬成に詳しい図書館か錬金術師を紹介してくれないかな。」
「今すぐかい?せっかちだな、全く…Aは?」
『んー、私は特に今はないから、貸し一つ追加で』
「…はあ、君に貸しを作りたくないんだがな。まあいい。」
大佐は本棚から一冊の資料を取ってぱらぱらと捲り始める。
俺達は一日でも早く元に戻りたいの!と隣のエドは言って、私の方へ体を向けた。
「Aはどーすんだ?これから」
『ふふ、面白そうだから君達に着いていこうかなーと思って』
「はあ?俺達の旅に?」
『私、これでも知識量は凄いし、医療の分野にも長けてるから。君達の役に立つと思うんだけど?』
「ほう、鋼のに着いていくなら動向が分かるからいいな。私からも彼女を連れていくことをお勧めしよう。」
「………それって、僕達が監視役?」
『というわけで、よろしく!』
「勝手に決めんじゃねぇー!!」
騒ぐエドは置いといて、アルと固い握手を交わした。
そして、探していた資料を見つけたらしい大佐が口を開く。
「これだ。『遺伝的に異なる二種以上の生物を対価とする人為的合成』--つまり、
『…げ、私その人嫌い』
聞こえてきた言葉に、私の中で思い当たる人物が一人。
嫌いというかなんというか…持ってる資料が多いから、前に何度か通ったことがあるのだ。
ゆえに彼の娘や愛犬との面識はあるし、彼女らのことは普通に好きなんだけど。
『(人語を使う合成獣、ってのがねえ…)』
「なんだ、Aに案内を頼もうと思ったのに」
『いやいや、大佐は私がその人苦手なの知ってるでしょ。』
「仕方ない…私が行こう。」
嫌な顔をする私に、何も知らないエドとアルが首を傾げた。
『…んーじゃあ、エド達がそこに行ってる間、私はこの辺の図書館でも漁ろうかな。』
「分かった。夕方に迎えの者をよこそう。」
120人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
キース - 更新頑張って下さい!とても面白くて大好きです! (2020年10月21日 21時) (レス) id: 7e1a44873b (このIDを非表示/違反報告)
アギト - そういえば、idって同じ数字にもなるんだね。 (2019年7月23日 10時) (レス) id: ef60878955 (このIDを非表示/違反報告)
アギト - 日向さんこんちゃーす。私もこの作品の続きが気になって確認してました。 (2019年7月23日 9時) (レス) id: ef60878955 (このIDを非表示/違反報告)
日向クロ - 続きが見たいです。心から!! (2019年6月21日 17時) (レス) id: 24db1a3b4c (このIDを非表示/違反報告)
日向クロ - これ取っても面白いですね。ときどき探してみています。ちなみに私も作品をいろいろ書いています。 (2019年6月16日 15時) (レス) id: 24db1a3b4c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:神菜 | 作成日時:2019年1月31日 19時