二十九話 白雪Side ページ35
大俱利伽羅さんが迎えに来てくれたので、ありがたくお供させてもらう。
昨日鶴さんに案内されたときとは違う道のりで歩く大俱利伽羅さんに着いて行く。お、覚えられるかな……。
まだ見慣れない本丸の景観をキョロキョロ見回しながら、少し先を歩く背中を追いかける。なんとしても自室から畑までの道は覚えないと。
「……アンタ」
ふと先を行く背中が立ち止まり、こちらを振り向いた。
「長谷部に会ったことはあるのか」
「いえ、無いと思います……それがどうかしましたか……?」
「……長谷部は少々……いや、かなり面倒くさい男だから一応伝えておこうと思っただけだ」
まあ悪い奴ではない。と言葉少なに語った彼は、またこちらに背を向けて歩き出す。
しかしその歩幅は先ほどより小さく、歩を進める速度もゆったりしていた。
やっぱり大俱利伽羅さんは優しい刀なんだなぁ。
「遅い!」
「ごめんなさい!」
いざ畑にたどり着き、もう一人の畑当番であるへし切長谷部さんを見つけたと思った矢先、第一声がこれだった。
反射で謝罪の言葉を叫んでしまった。
「えっと、私が歩くの遅くて……」
「言い訳は要らん!早く仕事にとりかかるぞ!軍手とカゴを持ってこい!」
「は、はいぃ!」
鬼軍曹のごとく怒りながらも指示を出してくれたので、情けない返事をしながらも畑のそばに置いてあった軍手とカゴを取りに行く。
どうやら大俱利伽羅さんは別行動らしく、何かの鍵を持って反対の方向へ歩いて行った。
とにかく急いで持ち物を持って長谷部さんの元へ戻ると、準備万端の彼が改めて説明をしてくれた。
「白雪藤四郎。お前は俺とともに収穫を行う」
と色んな野菜が実る区画を指差し、進んでいく。
終わりとは言えまだ夏野菜の時期らしく、茄子や胡瓜、赤茄子が成っていた。
「このくらいの大きさのものを、このように収穫するように」
「はい」
わかりやすく教えてくれる彼の手元をしっかりと見ながら覚えていく。
「今回収穫した野菜は今日の昼と夜の食事で使われる。カゴ一杯に収穫して構わん」
ふむふむ。
彼から離れて、一列横の野菜たちを吟味し、収穫することにする。
光忠たちが調理する野菜だもの、頑張って収穫しよう!
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にゃーちゃん - 更新頑張ってください、楽しみにしてます! (2022年9月7日 23時) (レス) @page32 id: 25d0243371 (このIDを非表示/違反報告)
るるるんる - 続き待ってます(*^▽^*) (2021年12月30日 21時) (レス) @page18 id: 3a1425707e (このIDを非表示/違反報告)
夕立(プロフ) - 最初から気になる (2017年7月1日 15時) (レス) id: 28663e6b05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:早稲月 x他3人 | 作成日時:2017年7月1日 15時