優しさ届ける広い空！6

＊２３９話　時間稼ぎ ページ29

私とうららちゃんが連れてこられたのは工事現場

人影は見当たらない

この時間は工事をしていないんだろう

そこはラッキーかな

ギリンマさんはそっぽを向いて、何かブツブツつぶやいていた

こわ…

貴「うららちゃん…」

ギリンマさんにばれないよう小声でうららちゃんに話しかける

貴「私が気を引くから、うららちゃんだけでも逃げて」

う「で、できません…!」

貴「逃げて、のぞみたちにこのことを伝えて。たぶん今頃、マフィンたちが気配に気づいてみんな心配してるから」

う「でも、そしたらAさんが…!!」

いや、そこは大丈夫だと思う

貴「心配してくれてありがとう。でもギリンマさん、意外と生身の人間を傷つけるような勇気ないから大丈夫だよ」

脅してはくるだろうけど

貴「それに、できるだけはやく帰らないとでしょ?」

う「!」

私はうららちゃんに笑いかけた

貴「だからみんなを連れてきてくれる?」

う「・・・分かりました…。絶対、無事でいてくださいね」

貴「うん、任せといてよ」

よし、これでとりあえず、最悪な展開を"２つとも"回避できた

うららちゃんが駆けていったのを確認し、せっかくだしギリンマさんのブツブツに耳をかたむける

ギ「今度こそ…今度こそ成功させなければ…だいたいあの人だって負けてばっかりじゃないか…!なぜ俺ばかり怒られねばならぬのだ!!」

・・・これ、絶対ブンビーさんへの恨みつらみだ

めっちゃ怨念みたいなのを感じるんですが…

相当不満たまってるな…

貴「それにしても、こうやって２人きりになるのは久しぶりですね!」

でもまぁ、そんなことは知ったこっちゃない

私は時間を稼ぐのに専念しよう

ギ「あぁ!?人質が話しかけんな!」

あれ、つっこみどころそこなの?

ギ「っておい!!もう1人はどうした!!」

おそ…

貴「逃がしましたけど。何か問題が?」

ギ「ふざっけんな!!問題しかないんだよ!!」

貴「まぁまぁ落ち着いて」

ギ「これが落ち着いていられるか!なんでお前のほうが余裕あんだよ!!」

うーん…情緒不安定

貴「ギリンマさんって私がナイトメアにいたときと態度違いすぎません?」

ギ「あんときは上司だったから仕方なくってこれ以上話しかけんな!」

貴「そういえば怒るとお肌すべすべになるらしいですけど、ギリンマさんすべすべですか?」

うららちゃんがかれんさんに言ってたこと

ずっと気になってた

怒ることでストレスが発散されるのなら確かにすべすべになるんじゃないかと思って…

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