優しさ届ける広い空！6

＊２５５話　沼 ページ14

ア「おのれ…!」

貴「だめですよ、アラクネアさん」

ミ「行かせない!!」

増子さんを助けたアクアを追おうとするアラクネアさんの前に立ちふさがった

貴「私達はまだしも、増子さんは一般人なんですから。傷つけちゃだめです」

ミ(私達はもう、ヒメルのなかで一般人じゃないのかしら…)

なんだかミントがもの言いたげな視線を向けてきているような気がする

何か変なこと言ったっけ…?

レ「きゃあ!!」

ふいに温室が揺れ、後ろからレモネードの悲鳴が聞こえてきた

ミ「ヒメル、こっちをお願い!」

ミントはレモネードたちの身を案じ、コワイナーの方へかけて行ってしまう

貴「ミント!そっちは…!!」

ミ「!?」

私が止めようとした時にはすでに遅く、ミントは沼に足をとられて体制をくずした

コワイナーに吹き飛ばされたドリームやルージュ、レモネードも動けずにいる

大体何で温室に沼があるの…!!

ア「言ったでしょう?このジャングルはアタシの思うがままだって!」

貴「ぬぐぐ…」

どうしよう

どうすればいい?

私は、どう動けばいい?

アク「みんな…!」

貴「っ!!アクア!」

もはやアラクネアさんを足止めしても私ではどうにもできない

私より、アクアのほうが相性がいい

そう判断した私はアラクネアさんから離れ、アクアと増子さんを追うコワイナーを後ろから蹴とばした

アク「!ヒメル!」

貴「アクア、こっちは私が受け持ちます!!アクアはみんなを…!」

アク「分かったわ!」

アクアを見送り、増子さんに声をかける

貴「ここから逃げてください!!」

増「へ?」

"へ?"じゃない!

むしろなんで逃げないんですか…!?

貴「写真なんかより!取材なんかより!大切なものがあるでしょう!?命を無駄にする気ですか!!?」

増「っ!」

貴「出口に向かって走ってください!全力で!あの怪物、そっちには絶対行かせませんから…!」

増「は、はい…!」

"はい"って言ったね?

聞いたからね?言質とりましたからね?!

アニメみたいに写真撮らないでくださいよ!?

後ろへ走り出した増子さんを横目に、私はコワイナーとの戦闘を再開する

コ「コワイナー!!」

貴「アクアの元にはいかせない!」

今回のコワイナー、妙にスピードがあるのが面倒くさい

貴「でも…私だってスピードには自信あるんです…!」

出来るだけ時間を稼ごうと、みんなとは反対方向にコワイナーをふっ飛ばした

その瞬間、アクアの凛とした声が温室に響く

アク「岩をも砕く乙女の激流!受けてみなさい!アクアストリーム!!」

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