優しさ届ける広い空！

＊２８話　一緒に ページ33

貴「」

か「でも…、でも…私…、まだ、自分が何をすればいいのか…分からないの…」

かれんさんは苦しそうにつぶやく。

貴「・・・別に…いいんじゃないですか…？」

か「え…？」

貴「それって…悪いことなんでしょうか…。私は、そうは思いません…。むしろそれって…、たくさんの可能性をかれんさんが持ってるってことじゃないですか…？」

か「」

貴「なんて…、私も…自分が何をしたいのか…何をすればいいのか…よく分からないんですけど…」

夢も、やりたいことも、見つけられない…。

貴「でも…ううん、だからこそ、これから探していきたい…」

か「・・・そう…。Aは、強いわね…」

貴「そんなことないです。全然…」

私なんかより、かれんさんの方がずっと…。

貴「・・・私、強くなります」

か「え…？」

貴「自分でも…胸を張れるくらい…」

かれんさんやみんなを…守れるくらい…。

貴「今の私は、かれんさんが言ってくださってるほど強くないから…。一人じゃ何も出来ないくらい弱いから…」

か「そんなこと無いわ。Aは弱くなんかない」

弱いですよ…。

貴「エへへ…ありがとうございます…」

か「本当よ…？」

あれぇ…？私、そんなに顔にでてたかな…。

貴「・・・かれんさん、お願いがあるんです」

一度深呼吸をして、もう一度、しっかりとかれんさんの綺麗な瞳を見つめる。

貴「私と、一緒にいてください」

か「え…？」

貴「・・・一緒に、探していきましょう」

か「っ！？」

貴「私達の…夢…。私はまだまだ弱いけど、かれんさんと一緒なら…強くなれる気がするんです。かれんさんと一緒なら、いろんなこと、乗り越えていける気がするんです」

か「」

かれんさんは困惑の表情を浮かべ、うつむいていた顔を上げる。

あれ？・・・ん？

え、まって、私、すごい恥ずかしいことをド直球で言ったような…。

貴「っ！す、すみません！！なんか、自分のことばっかり…！」

か「・・・ううん。私も…Aと一緒なら、どんな壁も乗り越えていける気がするわ」

貴「！？」

え…？

き、聞き間違いじゃ…ないよね…？

か「ありがとう」

貴「！！エヘヘ」

かれんさんは花の咲くような笑顔を浮かべた。

今日初めて見る、かれんさんの普段通りの笑顔…。

私はこの笑顔が…、嬉しくてしょうがなかった。

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