検索窓
今日:11 hit、昨日:10 hit、合計:902 hit

第2話 生きる意味 ページ5

桜太だけが見つからない。
死体の後処理を任された隠が言った。

「見つからない…って、どういうことですか?」
「言葉の通りだよ。君が持っている着物以外、痕跡や死体が無いんだ。」

隠は着物を指さしながら言う。
見つからない。

その言葉に、Aは希望を持ってしまった。
とても眩い光を見てしまった。

もしかしたら、桜太は生きているのかもしれない。
無惨とやらに連れ去られてしまったのかもしれない。

「おい、なにボーッとしてんだよ」

考えを巡らせていると、隠が呆れたように言う。
そうだ、お礼。

「……あっ、ありがとう、ございました」
「わかればいいんだよ、分かれば」

ふん、と悪態をついて隠はどこかへ消えてしまった。
その場に残されたAは空を見つめて立ち尽くしていた。



「来い、A」

しばらくして、世界がAに声をかける。
Aは振り向いて、世界のもとまで歩いていった。

「……弟だけが見つからなかったんだってな」
「…はい」

沈黙が流れる。
2人が歩く音だけが獣道に響いた。
もう少し歩けば人里に着くだろう。

「…もしかしたら、君の弟は鬼になっているのかもしれない。」
「いえ、桜太に限ってそれは無いです。絶対に」

世界がそう言うと、Aは間髪入れずに否定の言葉を掛ける。
世界は口を噤んだ。

信じたい。
桜太は鬼になんかなっていない。
もしかしたら、運が良くて生きながらえているのかもしれない。

Aはそう信じるしかなかった。

続→←続



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (2 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
3人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 伊黒小芭内 , 男主
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:いふらいと | 作成日時:2023年5月14日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。