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Aは何も言えずにへたり込む。
世界の言葉がやけに心に響いた。

「多分、鬼舞辻無惨の仕業だろう。
近くの山にいたという報告が来ている。」

「私が無惨の後を追う。
お前は………家族を悼んでやってほしい、と言いたいところだが…無理そうだな」

ぼおっと死体を見つめるA。
事態をのみ込めない。

したい?きぶつじむざん?
どうでもいい。

「………浮世。」

世界が空に呟くと、何処かから鴉が飛んできた。
毛並みは艶々しており、顔は凛としている。
その浮世と呼ばれた鎹鴉が肩に止まると、世界は口を開いた。

「春ノ山にて、家族が襲われる被害有。
鬼舞辻無惨によるものだと思われる。」
「リョウカイ!!
近クニ鬼殺隊員ガイルガ、ドウスルカ!?」
「いや、いい。あまり混乱はさせたくない。
もう別のところに行っているだろう。」

………鬼殺隊?
鬼殺隊。


もし、もし。
そこに入ったら、鬼を殺せるの?

「………ねえ、世界さん。」

急に口を開いたAに驚く。
鎹鴉も驚いて少し羽ばたいた。

「…僕もそこに入ったら、鬼を殺せるの?」
「………まあ、そうだな。
だが、苦しいぞ。」
「それでもいい。
家族を殺したやつが許せないんだ。」

世界を見つめるAの目には、決心が浮かんでいた。
それを見て、ため息を吐きながら世界は言う。

「本当は、継子などいらなかったのだがな。」

第2話 生きる意味→←続



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作者名:いふらいと | 作成日時:2023年5月14日 19時

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