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「着きました!ここが我が家です!」

暫く獣道を進むと、立派な屋敷が見えた。
多分、長い間ここにいたのだろう。
改装した跡がたくさんある。

「………趣が、あるな。」
「ありがとうございます!
お父様、お母様、桜太!帰ったよー!」

世界の話を聞いているのかいないのか。
下駄を脱ぎ捨て、玄関の引き戸を開く。

静まり返る家の中。
世界に嫌な予感が過ぎる。

「お父様?お母様?桜太ー?
どこー?薬売りに行っちゃったのかな…」

家の中からAの独り言が聞こえる。
世界は家の中に入り、手当たり次第に部屋を開けて行った。

「………A、来るな」

寝室の襖を開くと、世界は口を開いた。
Aは動きを止めて、世界の方を見る。

「え?なんでですか?何かあったんですか?」
「来るなと言っている。」

世界の声には、明らかな悲しみと怒りが含まれていた。
Aは後ずさりし、玄関へ歩いていった。

「……………え」

玄関へ繋がる廊下の床をふと見てみると、弟の桜太の着物が落ちていた。
血だらけで。

着物を抱えて世界のもとへ走る。

「世界さんっ!!!ねぇ、世界さん!!どうしよう、桜太が危険な目にあっているかもしれな」



Aの目に入ったのは、死体を悼む世界だった。
ただの死体じゃない。
Aにショックを植え付けたのは、その死体が、Aの最愛の家族だったことだった。

手を合わせ終わると、世界は呟いた。

「………。
これは、鬼の仕業だ。」

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作者名:いふらいと | 作成日時:2023年5月14日 19時

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