第7話 柱代理 ページ19
「やはり、やはり…!!貴方様は、才能の塊でございます!貴方様のような方の担当になれたこと、とても光栄でございます…!」
涙を流しながら春は言う。
え、そんなに…?
世界の方を見てみると、泣いてはなかったが感激しているようだった。
「A……よかったな…」
「えぇ……」
困惑を隠しきれないAだった。
大正█年█月██日
柱代理として活動を開始すると、まず初めて引退の話を知った柱達がなだれ込んできた。
「世界さん、引退されてしまうんですか?」
「………世界、(引退)するな」
「よもや!!」
「派手に引退会でもしようぜ!!」
「世界ちゃーん!」
「勘違いするな。甘露寺が来ると言ったから来たまでだ。だいたいお前は〜…」
一部を除いて、皆初めて師範の引退を知ったみたいで。
しのぶさんは笑顔で、冨岡さんは相変わらず言葉が足りなくて、煉獄さんはうるさくて、宇隨さんは派手で、蜜璃さんはかわいくて、伊黒さんはネチネチしてて。
今日来たみんなも、それ以外の来てない柱も、多分みんな師範のことが大好きなんだって分かった。
こんなに慕われるだなんて、師範はすごい。
僕もそんなふうになりたいな…
それと、柱(代理)になったからほかの柱に名前呼びを許された。
一番最初に許してくれたのは、小芭内。
なんか名前呼び照れくさいね
「ふぅ、書き終わった…
次は小芭内と蜜璃の分書かないと」
文通用の紙を整理し、机に向き直る。
柱代理と言っても、特に何も変わらなかった。
強いて言うなら蜜璃にご飯に誘われる回数が増えたってだけ。
任務は最近無いし、ただひたすら鍛錬ばかりしている。
実践は最終選別以来、ほとんどしてない。
「腕が鈍っちゃうよ」
筆を口に咥えながら何気なく呟くと、隙間風で耳飾りがしゃらんと揺れた。
『なら私が相手してやろうか』
おぞましい声が聞こえた。
地の底から響くような、気持ちの悪い声。
「だっ、誰!?」
急いで立ち上がり、刀を構える。
………。
「あれ、居ない…」
数分経っても、何も起こらない。
空耳かなあ。
頭をポリポリ掻きながら思う。
うーん…確かに聞こえたはずなんだけど。
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作者名:いふらいと | 作成日時:2023年5月14日 19時