検索窓
今日:6 hit、昨日:0 hit、合計:887 hit

ページ16

この羽織は明日返せばいいだろうと世界に言われたのだが、Aは落ち着かなかった。

だって、柱ぞ!?
柱の羽織ぞ!?

「まあ、落ち着け。少しくらい返さなくてもいいだろ」
「それは師範が柱だから言えるわけで…
僕はただの一般隊士なんですよ?」
「だが空柱の継子であり継承者だ」
「うぐぇ…」

そうだ、僕は継承者になっていたのだった。
いつか師範が引退した時、僕は空柱代理として頑張らなくてはいけない。

はあ、プレッシャー…

さらにヘコみ、顔を手で覆う。
そんなAを世界はじっと見て、深呼吸をする。

「…A。」
「はい」

なんの話だろうか。
Aは何も考えずに返事をする。

「私は、今日を以て空柱を引退させてもらう」

沈黙が流れた。
Aは目を見開く。

「………は?」

自分の意志とは関係なく、勝手に言葉が漏れた。
世界の意思は揺るがないようで、目隠しの向こうにある瞳がまっすぐとAを見据えた。

「え、どういうことですか?
いきなり引退って…僕、まだ癸なのに」

Aが焦って問い詰める。
世界はそんなAを制し、口を開いた。

「お前は完全に空の呼吸を会得している。
柱の私より、だ。
戦いの力量は足りんが、呼吸の正確さは誰にも負けていない。
お前も弱いわけではないしな」

頭が追いつかない。
え?そんなに話さないでよ。わからないよ。

「せ、世界さ…」
「師範」

やっとのことで出した声。
やだよ、世界さんが引退とか。

「…師範、引退しないでください…」
「…ごめんな。」

部屋に、Aの嗚咽が響いたのだった。

続→←第6話 色変わりの刀



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (2 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
3人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 伊黒小芭内 , 男主
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:いふらいと | 作成日時:2023年5月14日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。