続 ページ13
その日の夜。
何故か善逸とはぐれてしまい、Aは滝の近くで1人寂しく鬼を狩る。
はあ。
「善逸も強いと思うんだけどなあ」
善逸は、気を失うと途端に強くなるという謎の性質を持っている。
本当に謎だ。夢遊病の一種だろうか。
カチャン。
ため息を吐いて、刀を鞘にしまう音がただ響いた。
静かな夜だ。
………。
いや、違う。
鬼の息づかいも聞こえる。
刀を構え、音の聞こえる方を探る。
どこだ…?
目を閉じて、集中する。
滝の音であまり聞こえないが、分かる。
音源は…
「…!!」
そこだ!
木の幹に隠れていた鬼に斬撃を食らわす。
普通の雑魚敵ならこれで死ぬが、地味に強いやつは生きながらえることがある。
この鬼は後者だったようで、血が流れる胸を押えて笑った。
「ケケケ……効かないぜェ…」
切りつけた傷がすぐに再生していく。
まあ、これは予想の範囲内。
スー………
全集中。
『空の呼吸 肆ノ型 有明』
刀を下から上に振り上げる。
この型はそれだけでなく、辺りに舞い散った光や火花までも鬼にまとわりつく。
火花が付いた箇所からどんどん鬼は溶けてゆき、最終的には首以外消えてなくなった。
「………え、切られたのか、俺…?」
「わかる。色々と速いよねこの呼吸」
しゃがみ込んで話しかける。
僕も鍛錬のときそう思った。わかる。
鬼が何かを言おうとするが、すぐ消えていってしまった。
羽織に付いた土埃を払い、立ち上がる。
もう夜だというのに、戦いの音は止まなかった。
最終日。
最初はあんなにいた隊士たちは数人に減っていた。
中には髪が灰色の人もいて、金髪の人もいる。
………ん?
あれ、善逸じゃね?
炭治郎にまとわりついているのは、善逸だ。
間違いない。
へえ、あそこ知り合いだったんだ…
「皆様、よくお戻りになられました」
「これから皆様は鬼殺隊員として刀をふるっていただきます。」
「鬼殺隊員には階級がございます。
皆様は今現在、一番下の階級…癸でございます」
おかっぱの子供たちが説明をしていると、モヒカンヘアーの男が怒鳴る。
「おい、刀はどこだ!!」
「刀は後で選んでいただきます」
そんな男をあしらい、おかっぱの子供たちは説明を続ける。
ふと、黒髪の子供が手を上げた。
それを合図に、どこかからカラスの大群が飛んでくる。
「こちらは皆様の相棒となる、鎹鴉でございます」
バサバサバサッ!
Aの肩にとまったのは、浮世だった。
3人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:いふらいと | 作成日時:2023年5月14日 19時