続 ページ12
「鬼多くない！？！？」
鬼から逃げつつ、適当に頸を切る。
この日輪刀で鬼の頸を切ると骨すら残らないようで、ぽろぽろと崩れていく。
振り向くと、崩れていく死体が見えた。
立ち止まり、眺める。
「……この鬼にも、人生があったんだよなぁ」
そう考えると、情けをかけてしまいそうになる。
…だめだ！！
人喰い鬼なんかに情けは無用！！師範も言ってたじゃないか！！
両頬を叩き、己に喝を入れる。
「ふぅ……
……ん？」
ふと。
視界に鮮やかな黄色が入った。
何事かと思い視界に映してみると、ガタガタと震えている少年がいた。
眉毛は桜の花びらのような形で、頭は金髪という派手な少年。
驚きながらも挨拶をしようと試みる。
一緒に鬼を殺せたら心強いしね。
「あ、あの〜…」
「ｷﾞｬｰｰｰｰｯ！！！！！何！？！？！だれ！？！？！俺を食っても美味くないよ！！！！
……って、可愛い女の子！？！？！？」
「は？」
何を言っているんだこいつは。
僕は男だし鬼でもない。
ビビりすぎないか？
「俺は我妻善逸！君は？そんなにかわいいんだから、さぞかし名前もかわいらしいんだろうね…！」
「えーっと…僕は晴継A。
残念だけど、女の子じゃないよ」
そう言った瞬間、くねくねしながらニヤニヤしていた善逸の表情が曇る。
やっぱり、僕のことを女だと勘違いしていたらしい。
目が怖い。
「嘘………こんなにかわいいのに？？？
嘘だ！！」
「こわいこわいこわい…」
善逸はギリギリと肩に手を食い込ませる勢いで掴む。
いててて…
「いや、柱にもかわいい人いるし！！」
「それとこれは別なんだよ！！！」
「意味わからん！！！！」
そうこうしていると、後ろに鬼の気配が。
善逸の手を優しく取り除く。
善逸が気持ち悪い顔をしたので軽くチョップした。
「ギャハハ……こいつは美味そうなガキだなぁ」
典型的な鬼だ。
騒ぐ善逸を尻目に、刀を構える。
『空の呼吸 壱ノ型 中天』
目を開くと、もう鬼の首は切れていて。
善逸は目を輝かせていた。
「……す、すごい…！」
「どうも…？」
褒め言葉の受け取り方がわからない。
とりあえずどうもって言っておけばいいや。
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作者名：いふらいと | 作成日時：2023年5月14日 19時
