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「えっとどちら様でしょうか」
振り返った先にいたのは、フードを被った私より身長の高いが小柄なように見える男の人。そして髪を後ろでお団子にし、隣の男性と同じくらいの身長の女性だった。
二人は少し驚いたような顔をした後、ちらりとお互いに目配せをし、女性のほうが口を開いた。
「初めまして、私はエミリー・ダイアーよ。あなたは？」
ダイアーさんは少し微笑みながらやさしく答えてくれた。
「えっと、私はAです。」
「Aさん?」
ダイアーさんは首をかしげながら、復唱した。
私はこくりと頷き、隣にいる男性の名前を聞いた。
「その、隣にいる男性の方は？」
男性はぶっきらぼうに答えた。
「俺はナワーブ・サベター。」
「ダイアーさんと、サベターさん…」
「ええそうよ。でもダイアーさんなんて、なんか恥ずかしいからエミリーでいいわよ」
にこっと微笑みながらエミリーさんは言った。
「わかりました、エミリーさんですね。ところでここはどこですか？」
そう私が微笑みながら返すと、二人は驚いたように私の顔を見た。
「えっと、どうしました？」
その勢いに驚き、たじたじになりながらも聞いた。
「えっと…？あなた、ここがどこかわからないの？」
驚いた顔のままエミリーさんは言う。
私がこくりと頷くと、次は彼が疑うように聞いてきた。
「おいお前、記憶障害のふりしてるわけじゃないだろうな」
その言葉に一瞬迷ったが昨日の記憶とかあるから記憶喪失なわけではなさそうだった。
それを口にすると、エミリーさんは少し考え、言った。
「なら、詳しく話を聞かないといけないだろうし、私たちの莊園に来てもらいましょう？ねえナワーブ。」
彼女がそういうと、サベターさんは眉間にしわを寄せながら、
「こんな良くわからないやつを莊園に入れる？俺は反対だ。」
といった。
私も出会ってすぐの人にお世話になるわけにもいかないので、
「そうですよ！さすがにあっていきなりの人にお世話になるわけにもいかないですし…」
と否定した。
そうするとエミリーさんはにやりと笑いながらいった。
「Aさんは今日泊まるところはあるのかしら？」
私は、そういわれハッと気づいた。
「確かに…。」
エミリーさんはやっぱりねというような表情でうなずいた。
「こんなところに女性一人をほおっておくにもいかないし、やっぱり莊園に来てもらいましょう！」
「んな…」
「ん？なーに？」
サベターさんは反論しようとしたけれどエミリーさんの圧に負け
「…勝手にしろと」言っていた。
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作者名：Rina | 作成日時：2022年4月5日 18時
