【HQ!!】幸せになれるなら【黒尾鉄朗】

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『…』





綾瀬さんは屋上にいた



フェンスに背中を預け、膝を抱えて座っていた





黒｢なにやってんの、綾瀬さん｣


『…あ、黒尾、くん』


黒｢黒尾でいいよ｣





ニコッと笑いながら綾瀬さんの横に腰を下ろした


綾瀬さんは肩をびくっと跳ねさせて、何故か俺と距離を置いた





黒｢…俺のこと嫌い？｣


『え、いや…そうじゃなくて』






綾瀬さんは少し震えていた


…なにかに怯えてる？




そんな姿も可愛くて、愛おしくて、ただただ見つめていたら、






『わ、私に近付いたら、不幸になるよ』






と、震えた声で言った






『岡本くんも…宮崎くんも、橘くんも、夜久くんだって、みんな…私と話した人みんな、翌日には大怪我してるの』






そう言った綾瀬さんの大きな瞳から一粒、二粒、ぽろぽろと涙が零れた






『きっと、私がみんなを不幸にしてるんじゃないかって思って…そう思ったら凄く悲しくなってきて、辛くなってきて、も、どうすればいいかわかんない…』




黒｢綾瀬さん…｣






嗚咽を漏らしながらも、必死にそう伝える綾瀬さんを優しく抱き締めた


また肩をびくつかせた






『い、今の話聞いてた？ねえ、黒尾？？』


黒｢聞いてたけど、だからって泣いてる女の子ほっとけねえだろ？｣


『だめだよ、黒尾、黒尾も怪我しちゃう…』






俺の心配してくれるなんて、ほんと優しいな







でも安心してくれていい




綾瀬さんに近付く奴らを怪我させたのは俺なんだから、俺が怪我するはずがないわけだし







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まぁ、そんなこと言えないけど

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