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乙彦は2人きりになった室内で、未だ錯乱状態にある乙女の姿を見やる。
着替えの為に浴衣を脱いでいた乙女の今の姿には流石の乙彦も平静ではいられない。
侍女が持ってきたであろう襦袢を手に取りさっと上から掛けた。
乙彦「乙女、俺が分かるか?」
乙彦は腕の中で力なくもたれかかりつつも、小さく震えている乙女に極めて優しい声をかけた。
それでも反応を見せない乙女に、今度はゆっくりと頭を撫ではじめる。
やがて、次第に落ち着きを取り戻した乙女がようやく乙彦を見上げた。
入室して5分弱、初めて視線が交わった。
『なっ・・・田、縁 乙彦?』
乙女は先程まで自分が身体を預けていた者の正体を知り、大きくのけ反った。
胸板を力いっぱい押して抵抗する乙女に、乙彦はクツクツと喉を鳴らして笑う。
乙彦「こーら。だめじゃないか・・・。乙女、兄様って呼べ」
乙彦は暴れる乙女の顎を強く掴み強引に目を合わせるとそう囁いた。
はた、と動きを止めた乙女に対し、乙彦は更に言葉を続ける。
乙彦「お前は俺の従兄妹であり妹。なぁ、そうだろう?俺たちは仲の良い兄妹だ。」
『きょう、だい・・・妹・・・・・・』
乙彦「そう、お前は俺の妹。俺が大好きで仕方ない。そうだろう?」
乙彦はゆっくり、その言葉が乙女の頭にしっかりと刻み込まれるように、一つ一つ、音を紡いだ。
やがて、初めは虚ろな瞳でうわ言のように乙彦の言葉を繰り返すだけだった乙女が徐々に元の光を取り戻し、ついには自らの意思で乙彦と目を合わせた。
『兄様、わたし、記憶が、へんなの・・・さっきまで自分が何してたか思い出せない・・・!』
目いっぱいに涙を溜めて不安げに縋り付く乙女を乙彦は愛おしい者を見る目で、優しくあやすように髪や背中や頬を撫でた。
乙彦「大丈夫、分からないことは俺が全て教えてやるさ。不安がる事はひとつもない。
この部屋にいる限り、お前はずっと安全だから。
今まで通り、な。」
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読者の皆様、なかなか混乱してる方が多いと思います。
一応ざっぱに解説致しますと乙女ちゃんは現在進行形で洗脳されております。
高専の事やその他諸々が記憶にない状態です。
詳しいことは本編で噛み砕いていきますが、理解できない所などはご遠慮なくご質問下さい。
乙彦クッソ気持ち悪いと思ったそこの読者様。
私もそう思います((
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舞(プロフ) - 自分の名前を設定したいです!駄目でしょうか?? (2021年12月28日 23時) (レス) @page1 id: 17ec247796 (このIDを非表示/違反報告)
お萩(プロフ) - 成る程!!承知しました!! (2021年3月3日 10時) (レス) id: dd7c82a96f (このIDを非表示/違反報告)
花璋(プロフ) - お萩さん» どういう事だろうと思って調べてみると、なるほど、NARUTOのサスケくんですか!確かに乙女と意志が似たり寄ったりしてますね(笑)コメントありがとうございます!wikiで読んだ程度ですが、サスケ君ほど重くはならない予定です!(裏切る可能性大) (2021年3月3日 7時) (レス) id: 7ebade7fdf (このIDを非表示/違反報告)
お萩(プロフ) - 心なしかサ○ケを思い出す…一 (2021年3月3日 1時) (レス) id: dd7c82a96f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花璋 | 作成日時:2021年2月26日 21時