第7話 ページ8
【A視点】
着替え終わった私は、女子更衣室の隣にある、小さなサッカーの練習室でお祈りを捧げていた。私のお父さんの、サッカーの天使に。
私のお父さんは、地元の少年サッカーチームのコーチをしていた。それほど強いわけではなかったけど、お父さんはとても楽しそうだった。お父さんは心からサッカーが大好きで、見てただけだった私まで楽しかった。
お父さんはいつも、小さかった私に言っていた。
「いつか私が死んでしまっても、Aは心配しなくていいんだよ。なぜなら私のサッカーへの思いが天使になって、いつまでも生き続けるからね。もし私が死んだら、私のサッカーの天使をお前に遣わすよ。だから、お前は寂しがらずに、いつまでも笑顔で生きておくれ」
だから私は、本当にお父さんが死んでしまった時、悲しかったけど、寂しくはなかった。だって、お父さんが必ず、サッカーの天使を私に遣わしてくれると信じていた。
そしたら、本当にサッカーの天使がやってきたの。
あれは、私が初めてこのサッカー練習室…このスタジアムの中にある…を使った時だった。
壁の向こうから、甘い男の人の声が聞こえてきたんだ。
『A。A。私がサッカーの天使だ。キミのお父さんに頼まれて、キミのところにやってきたんだよ』
私は、飛んで喜んだ。本当にお父さんが私にサッカーの天使を遣わしてくれたんだ。そう信じて疑わなかった。
それから私は、天使にサッカーを教えてもらった。
練習室を使うのは私だけだから、十分に練習できた。
天使にサッカーを教えてもらってから、私のサッカーの実力はめきめき上がった。多分、それが今日の成功につながったんだと思う。
A「本当に、天使のおかげだわ…どんな姿をしてるのかな？一目でいいから、会ってみたいな…」
そう、つぶやいた時だった。
『私も、ただ声をかけるだけではつまらないよ。キミに会いたくてたまらない。今からそこに行くから、更衣室の鏡を見てごらん』
甘い声。天使の声だ！
私はハッとしてあたりを見渡したけど、誰もいなかった。でも、天使の言葉には、微塵の嘘も芝居臭さも感じられなかった。
私は迷うことなく、更衣室に続くドアを開け、部屋の奥にある鏡に駆け寄った。掛けてあったカバーを一気に剥がす。
そこに、人がいた！
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三条瑠奈(プロフ) - 天野桜子さん» コメントありがとうございます！！！！何回も更新が止まって申し訳ありませんでした。最後まで読んで頂いてとても嬉しいです！！！ (2017年1月5日 11時) (
レス) id: 01ddb41fe4 (このIDを非表示/違反報告)
天野桜子(プロフ) - 完結おめでとうございます！最後までとても面白かったですo(｀ω´ )o (2017年1月5日 1時) (レス) id: dda5c4068d (このIDを非表示/違反報告)
麻生みか(プロフ) - 三条瑠奈さん» あはは、 そうだね(笑) (2017年1月4日 22時) (レス) id: fe47231695 (このIDを非表示/違反報告)
三条瑠奈(プロフ) - 麻生みかさん» ありがとう！いつかはみんな大人になるさ！（円堂さんだってなったし） (2017年1月4日 21時) (レス) id: 01ddb41fe4 (このIDを非表示/違反報告)
麻生みか(プロフ) - あぁ〜 大人になんかなりたくないよー！！ でも しょうがないか (笑) (2017年1月4日 21時) (レス) id: fe47231695 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三条瑠奈 | 作成日時：2016年8月15日 9時
