Episode28 ページ30
その日の夜
寮のみんなも私の誕生日を祝ってくれた
カリムが用意したという綺麗な洋服に身を包み
私は最後の宴を楽しんだ
宴が終わると私は一度部屋に戻り
ナイフを隠し持ってカリムの部屋に向かった。
カリムの部屋のドアをノックすると、すぐに扉が開く
ｶﾘﾑ｢入ってくれ！｣
今から私に殺されるっていうのに彼はいつもと変わらない笑顔を見せた
私は部屋に入り、カリムと向かい合うかたちで椅子に腰掛けた
ｶﾘﾑ｢今日の宴楽しかったな！｣
｢はい…｣
ｶﾘﾑ｢最後に良い思い出ができた｣
彼の｢最後｣という言葉に私の心臓がドキッと跳ねた
私が何も言わずに俯いていると
カリムは何やら小さめの箱を私の前に差し出した
ｶﾘﾑ｢誕生日おめでとう。人生最後の日にAの誕生日を祝えてオレは嬉しい｣
そう言って彼が箱を開けると
そこには赤い宝石のついた綺麗なブレスレットが入っていた
カリムはブレスレットを取り出し、そっと私の腕に付けてくれる
ｶﾘﾑ｢よく似合ってるな｣
｢何で…私なんかに｣
私が涙を流しながらカリムに尋ねると
彼は優しく微笑んだ
ｶﾘﾑ｢前にも言っただろ？
Aのことが好きだからだ｣
カリムの顔が見れない
｢うっ…。わたし…カリムと出会えて幸せだった｣
ｶﾘﾑ｢オレの方が幸せだった｣
もしも本当に来世というものがあるのなら
次は普通の女の子としてあなたの傍に…
｢ありがとう、カリム。｣
私は覚悟を決めて隠し持っていたナイフをカリムの首に突きつけた
｢…ッ。｣
しかし、そこから手を動かすことができない
ｶﾘﾑ｢オレのことは気にしなくていい｣
カリムはそう言って私の手に自分の手を重ねた
さっきよりもナイフの歯が首にくい込んで、薄らと血が滲んでいる
｢…やっぱり私にはできない！｣
私はその場に座り込んだ
ｶﾘﾑ｢でも、早くオレを殺さないとAが！｣
｢それでも構わない！
カリムを殺すくらいなら死んだ方が…｣
カリムは泣きながら言う私を優しく抱き寄せた
私はナイフを手放して、カリムの背中に腕を回す
その時、初めて彼が泣いた
私を強く抱き締めながら
私は少し体を離し、彼の唇に口づけた
｢…カリム、愛してる｣
私は最後にそう伝えると、彼の元を去った
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広告 - めちゃくちゃ良かったです！ (2020年10月21日 19時) (
レス) id: 21de1d3817 (このIDを非表示/違反報告)
美月(プロフ) - 陷さん» コメントありがとうございます！楽しんで読んでいただけたようでよかったです！ (2020年6月29日 22時) (レス) id: 6feeb0dd0f (このIDを非表示/違反報告)
陷(プロフ) - さいっっこうでした！ハピエン厨なので作者様がハッピーエンドを書いてくださり本当に嬉しかったし、とても素晴らしい小説でした！ありがとうございます！ (2020年6月29日 21時) (レス) id: cd18a981b6 (このIDを非表示/違反報告)
海賊船の雑用 - はい！ずっと見てます！←ストーカー (2020年5月27日 20時) (レス) id: 3287b8cc09 (このIDを非表示/違反報告)
美月(プロフ) - 海賊船の雑用さん» ありがとうございます！楽しんで読んでいただけてるようでなによりです！これからも頑張ります！ (2020年5月27日 20時) (レス) id: 6feeb0dd0f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：美月 | 作成日時：2020年5月26日 17時
