Episode26 ページ28
どれだけ私がカリムを殺したくないと思ったって意味はない
｢もうやだ…｣
私は一枚の紙を握りしめて机に突っ伏した
この紙は先程依頼者から届いたもので
早くカリムを始末しろと最速が来たのだ
急なことに私は動揺を隠せないでいた
しばらく机に顔を伏せていると誰かが部屋のドアをノックした
ｶﾘﾑ｢Aー、ちょっといいか？｣
カリムの声がして私はドアを開ける
｢何ですか…｣
私が訪ねると彼はニコッと笑って私の手を引いた
ｶﾘﾑ｢散歩に行こう！｣
｢散歩？｣
ｶﾘﾑ｢気分転換しよう｣
彼は少し強引に私を部屋から出した
そして、空飛ぶ絨毯に乗り込み二人で寮を出た
気分が落ち込んでいるせいか
綺麗な星空を見ても何も感じない
心が空っぽになったようだ
そんな私とは反対にカリムは｢綺麗だな！｣とはしゃいでいる
｢…｣
ｶﾘﾑ｢…今日はちょっと話があるんだ｣
空を飛んで五分ほど経った頃
彼は真剣な顔で口を開いた
ｶﾘﾑ｢Aはオレを殺しにきた刺客なんだよな？｣
｢…ッ！なんで…｣
私はなんで知ってるんですか、と言いそうになったのを口を塞いで急いでとめた
ｶﾘﾑ｢やっぱりそうか…｣
彼は少し悲しそうに笑った
｢…私を殺しますか？｣
ｶﾘﾑ｢殺さない｣
私の問いに彼は即答した
｢何で…｣
ｶﾘﾑ｢好きだから｣
彼の言葉に私は伏せていた顔を上げた
ｶﾘﾑ｢オレはAが好きなんだ。Aが今までしてきたこととか気にならないくらい｣
｢…｣
私は何も言えなかった
ただ黙って彼の話を聞いていた
ｶﾘﾑ｢早くオレを殺せって言われてるんだろ？｣
｢…｣
今一番悩んでいることを言われて
私は思わず動揺してしまった
ｶﾘﾑ｢やっぱりな…。｣
｢ごめんなさい…でも私｣
カリムを殺したくないと言おうとしたとき
彼は私の口を優しく塞いだ
ｶﾘﾑ｢Aになら殺されてもいい。｣
｢え…｣
そう言って優しく微笑む彼の顔は何か覚悟を決めたような顔をしている
ｶﾘﾑ｢オレを殺さなかったらAが傷つくことになる。そんなのオレは嫌だ｣
｢でも…｣
ｶﾘﾑ｢Aは何も気にしなくていい。オレを殺してくれ｣
そう言って私を抱きしめた彼の腕の中で私は静かに涙を流した。
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広告 - めちゃくちゃ良かったです！ (2020年10月21日 19時) (
レス) id: 21de1d3817 (このIDを非表示/違反報告)
美月(プロフ) - 陷さん» コメントありがとうございます！楽しんで読んでいただけたようでよかったです！ (2020年6月29日 22時) (レス) id: 6feeb0dd0f (このIDを非表示/違反報告)
陷(プロフ) - さいっっこうでした！ハピエン厨なので作者様がハッピーエンドを書いてくださり本当に嬉しかったし、とても素晴らしい小説でした！ありがとうございます！ (2020年6月29日 21時) (レス) id: cd18a981b6 (このIDを非表示/違反報告)
海賊船の雑用 - はい！ずっと見てます！←ストーカー (2020年5月27日 20時) (レス) id: 3287b8cc09 (このIDを非表示/違反報告)
美月(プロフ) - 海賊船の雑用さん» ありがとうございます！楽しんで読んでいただけてるようでなによりです！これからも頑張ります！ (2020年5月27日 20時) (レス) id: 6feeb0dd0f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：美月 | 作成日時：2020年5月26日 17時
