26 ページ7
前夜祭を終えた放課後はとても賑やかだった。
みんながわいわいやってる中、私はせっせと帰る。
行く先は章ちゃんのアトリエ。
だいぶ見慣れた木製のドアをノックすると、いつものように章ちゃんが中から顔を覗かせる。
私は少しホットした。
もしかしたら、出てこないかもなんて思ってたから。
章ちゃんの顔見れるだけで私は明日も生きていける気がする。
章｢おはよ！入って〜｣
なんでおはようって言ったのかは分からない。
けど、なんとなくノリはわかった気がした。
アトリエの中に入るとやっぱりガラッとしていて、生活感が全くなかった。
だけどちゃんと私と章ちゃんが座る椅子は置いてあって、私のために置いてくれてるのかな？なんて思ったり。
｢章ちゃんあのね、実は
お母さん目覚ましたんだ｣
章｢え、ほんま？！よかったやん、！｣
｢うん...私、一生後悔したままだと思ってた｣
章｢...｣
なぜか章ちゃんは無言になってしまった。
なにか変な事言っちゃったのかも。
章ちゃんだって、なにか重いものを背負ってるのに。
章｢...後悔って、どうやったら晴れるんやろな？｣
章ちゃんは悲しい目で言った。
後悔。
それは時に生死をも惑わす。
私は"あの日"以来、何度死にたいと思ったのか。
自分の過ちは絶対に消せなくて、罪悪感はいつまでものしかかって。
視界にはいつも暗いフィルターがかかる。
まるでサングラスでもかけているかのように。
章｢俺は今、後悔を晴らすために出来る事を精一杯してるつもり。
やけど、このやり方で本当に後悔が、自分の犯した間違いがなかったことになるかが
最近分からへん、｣
｢...｣
きっと私と章ちゃんは違うようで同じ部類の人間だ。
もちろん国民的アイドルとただの女子高生という点では天と地の差があるけど。
私も章ちゃんも、過去に引きずられてるのは一緒。
その過去を何とか隠そうとしてる所も。
｢章ちゃんは...どうして失踪してるの？｣
私はずっと聞きたくて、でも聞けなかったことを聞いた。
すると章ちゃんは俯いた。
でも、
章｢せやなぁ、｣
顔をあげて深呼吸して
私の方を向いた。
章｢中学ん時、ほんまに仲ええ奴がおってな｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 312人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
お茶。(プロフ) - kafwerateさん» 初めまして、素敵なコメント本当にありがとうございます...!自分の文章をその様に受け取っていただいて、本当に嬉しいです(TT)お返事が遅くなってしまって申し訳ないです(TT) (2020年12月9日 16時) (
レス) id: 9de1274b8c (このIDを非表示/違反報告)
kafwerate(プロフ) - はじめまして、1年くらい前のものと思われますが完結お疲れ様です。ふとこの話に出会ってノンストップで最後まで読んでしまいました。途中から涙で顔ぐしゃぐしゃになりながら読んでました笑 もう本当に感動しました。この話に出会えて良かったです。突然失礼しました。 (2020年8月13日 1時) (レス) id: 7243bdd22a (このIDを非表示/違反報告)
お茶。(プロフ) - ふわぽむさん» なんて嬉しいお言葉でしょうか(TT)本当にありがとうございます。文章力をもっと上げて、もっと素晴らしい作品がかけるように頑張ります！ (2019年7月20日 23時) (レス) id: 388165f169 (このIDを非表示/違反報告)
ふわぽむ(プロフ) - 完結お疲れ様でした！正直最初は妄想の延長線で拝見したこの作品に、どんどん引き込まれていきました。ヤスくんのお話じゃなくても面白いだろうけど、お茶。さんの描くヤスくんだからこそこんなに素敵な作品になられたんだと痛感しております。おまけ楽しみしてます♪ (2019年7月20日 22時) (レス) id: 5ff2bede50 (このIDを非表示/違反報告)
お茶。(プロフ) - てばさん» ありがとうございます！暫く放置しててごめんなさい(TT) (2019年6月16日 18時) (レス) id: 388165f169 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：お茶。 | 作成日時：2019年3月11日 1時
