4 ページ4
.
そうだ、ルーカスはみんなの太陽なんだった。
一瞬宿題見せてあげて、最近よく話すようになったくらいでなんて勘違いをしてるんだ私は。うん、やっぱり今日はルーカスは断ってマークと一緒に委員会の仕事をしよう。その方が自分のためだ。
太陽との距離感を見誤ってはならない。私たちの関係は、この距離だからこそ成り立っているのだ。互いに利があると言えるのは、私たちの間に大きな距離が開いているからである。
私はそのまま座っているのもぎこちなくて、誤魔化すように席を立った。背中に感じる視線はルーカスのものなのか振り返って確かめたくなったけど、生憎私はそんな勇気を持ち合わせていなかった。
学級委員の「起立、礼」をこんなにも言わないでくれと願ったことなど今までない。
この号令が終わって教室内が一瞬で騒がしくなる瞬間に、きっとルーカスは私に話かけてくる。「A！」 ほら、やっぱり。
「・・・ルーカス、今日は予定があるの。」
「知ってる、言ったじゃん。だからわざとだって」
これじゃさっきと同じ会話じゃないか。堂々巡りになってしまうのを察して、「マークが今から来るよ」と告げた。
「いやだ。今日、俺とデートしてほしい。」
「あ！Aちゃんお待たせ！ＨＲ終わるの遅くて・・・」
なんてタイミングの悪さだ。私はついに頭を抱えたくなってしまった。
教室のドアのところで突っ立っているマークを見ると訳が分からないという顔をしている。
そうだよね、ごめんマーク。
「マーク、今日ってAと何するの？」
「お？今日はAちゃんと一緒に委員会のやつやろうと思ってる。なんで？」
「それ、今日じゃなきゃダメなヤツ？」
「ううん、来週だからそこまで急いではないけど・・・」
「じゃあ俺にA譲って欲しい。」
「！？ え、あ、どうぞ！！！！！」
この違和感たっぷりの空気の原因にやっと気が付いたらしいマークは、慌てて自分の教室に帰って行ってしまった。マークに心の中で精一杯の謝罪をすると同時に一体ルーカスは何を考えているんだ、と顔には出さないが内心大荒れである。
「ルーカス、今なんて？」
「デート。」
目の前の男は、本当に何を考えているのだろうか。太陽は、私をその一言でほてらせるのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 713人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「NCT」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
マリン(プロフ) - ころころまんさん» ジェミンを応援したくなるというコメント本当に嬉しいです。最後まで主人公の味方になろうとする彼を書きたかったので……！コメントありがとうございました！ (2021年3月21日 12時) (
レス) id: 2096d89c8f (このIDを非表示/違反報告)
ころころまん(プロフ) - ジェミンの話が一番面白かったです。ドキドキするしジェミンを応援したくなるし、ジェミンっていいやつなんだなぁと私は感じました。また更新お待ちしています。こだわりのある感じがまた最高です。 (2021年3月21日 4時) (レス) id: ddd6b54eb6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：マリン | 作成日時：2021年2月15日 1時
