7 ページ14
.
でも、言われてみればそうかもしれない。
私はただ自分の覚悟をジェミンに聞いてほしくて話したけれど、それってジェミンが誰にも言わないことが前提になっている話だ。でも彼は今まで誰にも言ってこなかった。
ジェミンが、私がテヨン先生に許されない恋をしている事実を知ったのは初夏。
それから約半年、彼は誰にも言うことなくただ私の、『世の中の恋愛』についての見解を聞いて相槌を打ったり冗談を言う程度で、私が気に病むような出来事は実際何にも起きていなかった。
だから、彼に甘えていたのだと言わざるを得ない。
「でも、ジェミン今までだってそういうタイミングあったのに言わなかったじゃん、」
「俺、Aが言えないなら代わりに言ってあげようか」
「は？」
「テヨン先生が好きです、体育の時間はいつも見てました、先生のためにいい匂いの汗拭きシートも用意して、褒めてほしくて片付けも毎回頑張ってましたって。」
「なっ、なんでそんなことまで、」
「あと先生の彼女ほど指輪のセンスはないけどスマホケースのセンスならあります、とでも言ってあげようか？」
ふふん、と何故か得意げなジェミンに、私は思わず消しカスを投げ飛ばしそうになるものの既の所で思いとどまる。いけない、小学生じゃないんだから。
上げた腕を机の上に置き直して、握ったままの消しカスを指先で弄る。
「・・・そう言ってくれるのはありがたいけど本当に言うつもりはないの。」
「じゃあAは未練たらたら女になるつもり？」
「それは・・・時間が解決してくれる、んじゃないの。新しく好きな人ができるまでは、好きなままかもしれないけど、」
「じゃあ俺のこと好きになってよ」
消しカスを弄る指先を止めて、何かとんでもないことを言い出したような気がするジェミンに視線を移す。
彼は小さい顔を頬杖ついた手の上に乗せて、私に対して微笑んでいた。
「・・・何言ってんの、そういう冗談好きじゃないんだけど」
落ち着け、冷静になれ、慌てるな。ジェミンはただの友達、相談相手。
ここで『そういう風』に彼を認識しちゃだめだ。そんなの許されない。
「冗談だと思うの？」
少し怒っているようにも聞こえるその声は、私の聞いたことのない声だった。恐る恐る顔をあげると、眉はぎゅうと寄っていてピンク色の口角は限りなく下げられている。
「A、俺を利用して。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 713人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「NCT」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
マリン(プロフ) - ころころまんさん» ジェミンを応援したくなるというコメント本当に嬉しいです。最後まで主人公の味方になろうとする彼を書きたかったので……！コメントありがとうございました！ (2021年3月21日 12時) (
レス) id: 2096d89c8f (このIDを非表示/違反報告)
ころころまん(プロフ) - ジェミンの話が一番面白かったです。ドキドキするしジェミンを応援したくなるし、ジェミンっていいやつなんだなぁと私は感じました。また更新お待ちしています。こだわりのある感じがまた最高です。 (2021年3月21日 4時) (レス) id: ddd6b54eb6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：マリン | 作成日時：2021年2月15日 1時
