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結局、電話越しにいつものアナウンスが流れるのを聞いた。おかけになった電話は―――の『お掛け』の所で切った。
俺が聞きたいのは機械音じゃなくてヌナの声だ。
意味の無くなったスマホを握りしめながらどうしようもない焦りを持て余していると、遠くからタクシーがこちらへ向かってくるのが見える。
いいですね、社会人はお金があって！とイライラを無駄に眩しいヘッドライトにぶつけていれば、なんとそのタクシーは俺のすぐ近くで停車した。
もしかしてここのマンションの人か？通報されたらどうしよう、などという俺の浅はかな思考回路はその3秒後にぶち壊されることになる。
「先輩、着きましたよ。歩けます？」
「ん、大丈夫、」
「いやいや、歩けてないですよ。部屋の前まで送りましょうか？」
は？？？？？
俺の目と鼻の先にどう見ても酔っ払ったヌナと、無駄に顔の造りが端正な男が立っている。黒髪のくせに妙な爽やかな色気をまとっているのが余計気に食わない。
…まあそんなことはどうでもいい、なんでヌナの隣に立っているんだ。どけ、そこは俺の場所なのに。
電話出れなかったのは酔ってるから？とか、またこの間みたいに頭の中でボコボコとマグマみたいに言葉が浮かんできたけど、今日に限っては口に出す前に、身体が動いていた。
とうとう俺は、我慢の限界だったらしい。ヌナが後から知ったら怒るだろうけど今日ばかりは許してほしい、だって彼女が知らんイケメンに家を教えているこの現状を、彼氏として見過ごせない。
「俺が部屋まで一緒に行くので、大丈夫です」
肩を担いでいる男を引き剥がして、支えが無くなってふらついたヌナを抱き留める。
ソンチャン…？と俺を見上げるヌナの頬は紅潮していて、ほんのりアルコールの匂いがした。うん、しっかり酔っ払いだ。
その一部始終を見ている男は、眉間に皺を寄せて俺をじっと見ている。
「…彼氏？」
はいそうです、って言ったらだめかな。
もうこんなのどう見ても俺が彼氏だし、今私服だし、暗いから顔もよく分かんないだろうし。それでもヌナがいる手前、言い淀んでいるとその男は口を開く。
「先輩、『今日彼氏に振られるかも〜』って言ってヤケ酒してこうなったんですよね」
「え？」
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マリン(プロフ) - ころころまんさん» ジェミンを応援したくなるというコメント本当に嬉しいです。最後まで主人公の味方になろうとする彼を書きたかったので……！コメントありがとうございました！ (2021年3月21日 12時) (
レス) id: 2096d89c8f (このIDを非表示/違反報告)
ころころまん(プロフ) - ジェミンの話が一番面白かったです。ドキドキするしジェミンを応援したくなるし、ジェミンっていいやつなんだなぁと私は感じました。また更新お待ちしています。こだわりのある感じがまた最高です。 (2021年3月21日 4時) (レス) id: ddd6b54eb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：マリン | 作成日時：2021年2月15日 1時
