14 : Takumi.Kitagawa ページ16
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足早に自分の家へと帰る。
大丈夫、あとちょっとって言い聞かせて
自分の気持ちをごまかした。
「………はあ、」
玄関の扉を閉じた瞬間、緊張の糸が切れる。
「っ、」
我慢の限界。
ボロボロ落ちる涙が止められない。
安心したくて、どうしようもなくなって
1番上に名前がある彼に電話をかけた。
「もしもーし？」
「たく、みく…っ、」
「どしたの？」
聞こえてきた優しいトーンに安心して涙がまた溢れる。
それを聞いたからか
拓実くんは心配そうな声に変わった。
「仕事で、いやなこと、あって…」
「仕事でやなことあった？」
「っ…うん」
ぽつりと零すように今日のことを話した。
ずっとうん、うんって相槌を打ちながら
聞いてくれるから、話しやすい。
「はあ…。
上司の人にいやなこと言われちゃったんだ、そっか」
「…うん、」
「そっかそっか」
まるで自分のことみたいに
悲しそうに言う拓実くん。
彼に話して少し整理できたのか
気持ちは落ち着き始めていた。
「いつも真面目だしさ。
1番頑張ってその知ってるからさ。
全然気にしなくていいし」
「うん…」
「それでも今日1日がんばったんでしょ？」
「うん」
「えらいよ」
「そんなのふつ…」
「えらい」
当たり前だから。
私がしっかりしてないから。
そんなネガティブだった気持ちが
拓実くんの言葉で和らぐ。
私、拓実くんがそう言ってくれるくらい偉いかなあ？
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作者名：むう
| 作成日時：2023年12月4日 18時
