キミの声で揺らして。 (ページ12)

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10 : Yusei.Nagase ページ12

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良くも悪くも交友関係が広い人だった。

色んな集まりに呼ばれてる気がするし

本人も友達関係はしっかり大切にするタイプ。

だから、なかなか予定が合わないことも少なくなかった。

「俺、Aとの時間できるだけ作りたいんだ」

そう言って提案されたのは何ヶ目前の話か。

同棲生活もだいぶ慣れてきた。

友達と遊ぶ日は相変わらず多い彼だけど

ゆっくりできる夜は、ちゃんと早く帰って来てくれる。

「もしもし？」

「もしもし、お疲れ～」

「お疲れ」

「おつおつ～」

ある日、先に私が帰った日だった。

電話が来たから仕事終わったのかなって。

まあ、こういうときは大体。

「今仕事終わったんだけどさ」

「もしかして？(笑)」

「あーそうそう。

元木くんたちと温泉行ってから帰るからさ

ちょっと遅れるかも帰るの」

「今から温泉！？」

「うん。そう。」

時計を見ると19:00すぎ。

どこの温泉か分からないけど

帰ってくるのはかなり遅そう。

「温泉行ってから帰るから、先寝てていいよ」

「分かった」

「うん。静かに入るから」

「はーい」

「はい。そういうこと」

温泉行くって報告だけでもいいのに

先寝てていいって言ってくれるところが

結星の優しいところだ。

わざわざ、電話してくれるのも。

「気をつけて行って来てね」

「はいよー。じゃあまた」

「うん。またあとで」

「またあとでね」

「元木くんたちにも、よろしく」

「はいはーい」

またあとでね。

もうすっかり当たり前になったセリフが

今日はなんだか少しくすぐったい。

食べようと思ってた新作のお菓子

やっぱり明日、結星と食べよう。

＿

「ベッドで寝ろよ(笑)」

「結星におかえりって言いたくて」

「はー？なんか可愛いんですけど」

ソファでうとうとしてしまってた私に

数時間後帰って来た彼が笑いかける。

ただいまって声に安心して

ベッドに行ってすぐ、また眠ってしまった。

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19:02 長瀬結星

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