キミの声で揺らして。 (ページ11)

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09 : Waku.Motoki ページ11

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疲れたな一暇だなーってなんとなくスマホを眺める。

明日休みだし、温泉行くか、と

ふと思い立って電話のアプリを開いた。

長頼LINE通話だと出ねぇからな。

履歴の1番上をタップ。

「もしもーし、今何してんの？」

「…」

「今から温泉行こうぜ」

いつも通りそう言ってみるけど全く反応がない。

電波悪い？

「え？ねえ、なんで無視すんだよ」

「いや、えっと」

「ふえ？いやお前誰」

やっと反応が来たと思ったら

長瀬とは全く違う声が聞こえる。

すぐ画面で名前を確認すればいいのに

パニックになってそんな考えに至らなかった。

「長瀬じゃないの？お前誰！！！」

思い返せば自分から間違っといてこの言い草。

失礼にも程がある。

「A、です…」

申し訳なさそうに言われた名前に目を丸くする。

Aちゃん？Aちゃんって…。

「あ、」

勢いのあまり切ってしまった電話。

つー、つー、と虚しく音が響く。

やってしまった。

「最悪まじで」

頭を抱えてその場に倒れ込む。

1回深呼吸をしてから、LINEを開いた。

Aちゃんとのトークに

" さっきはごめん。 " と追加する。

何話したらいいか悩んで

ずっと送れてなかったくせに

こんな形でLINEすることになるとは。

長瀬にやつ当たりのように

" お前キライ "

と送った。

" は？何急に "

って来たけど、無視。

「え」

数分後、大丈夫とAちゃんから返事。

" デート？とか思ってすぐ返事できなくてごめんね。 "

ちょっと急展開すぎを頭回んない。

" もし俺からそんな連絡来たら引くよね(笑) "

" いや、引かないけどさ？？ "

………………やばい、かも。

「長瀬ありがとうー」

長瀬に

" まじで好きだわ "

と送ると

盛大に気持ち悪がられた。

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18:49 元木湧

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