灰病にならなかった理由 (ページ12)

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「あの時の、どこにあったかしら……」

箪笥からあるものを探していると外から轟音が響いた

ﾄﾞｫｫｫｫｫｫｫｫﾝ

「！？……なに！？」

急いで襖を開けると
見慣れていた浅草は火の海と化していた

「ｯ!!……あ、ヒカちゃん、ヒナちゃん…！！」

きっと紺炉たちはとうに現場に向かっていると思い、私は真っ先に2人を探しに行った
居間に入ると2人は体を寄せあって卓袱台の下に縮こまるように入っていた

「A…！でっかい音鳴ったけどなんだ……？」

「ヒカとヒナは…紺炉たちは、浅草は平気か？」

2人はとても不安そうに私の顔を見上げてそう言った

…私がクヨクヨしてちゃダメだ。
私は2人の顔を真っ直ぐ見た

「大丈夫よ。だって浅草には火消しの皆がいるじゃない！絶対に大丈夫。今みんなが消化作業をしてくれている途中なのよ。私たちは私たちのできることをしましょう」

私は2人にこっぴどく言って聞かせてきた防災の話をした

「今は緊急事態よ。毎回お話をしていたこと覚えてる？」

「おう！／あったりまえよ！」

順に手提げの袋から
包帯手拭い鋏脱脂綿消毒液乾パン水

「全部あるぞ！」

「ばっちりね！じゃあ、隅田川の方の蔵に向かうわよ。私は家屋に埋もれてる人がいないか確認しながら行きます。2人は避難町民の誘導を！」

「「合点承知！！！」」

2人が外に出たあと、燃え移りそうなものを片付け、私も外に出た
あっという間に火の手が上がっていて町は混乱していた

｢皆さん落ち着いてください！隅田川付近の隊員の蔵があります！そこへ向かってください！｣

逃げ回る町民に指示を仰ぎながら私もそこへ向かった
すると現状はとても悲惨だった
焔人の被害にあった人達が多くいた
火傷を全身に負ってる人や骨折、腕がなくなっていたりと重傷者が多かった
悲痛な叫びがそこらじゅうから聞こえ、目眩がしそう

｢重傷者の方から蔵の中へ！手の空く奥様方は治療の方に回っていただけるとありがたいです！ヒカちゃん、ヒナちゃん。2人は子供たちの状態を見てあげて？怪我をしていたらこっちに運んできてくれるかしら？｣

｢｢合点承知！！！！｣｣

重傷者の手当をしている中、
……心のどこかで嫌な予感がしていた
この予感は的中して欲しくない、
お願い、気の所為でいて……