妖が視える少年との出会い16(終) ページ17
Aside
「……ったく、先生も知ってたんなら教えてくれればいいのに…」
「別に聞かれなかったからな」
ニャン太郎が夏目君の質問攻めから解放されたのは、もうすっかり日も沈んでしまった頃だった。
話し込んでいて今まで気が付かなかったが、辺りは既に、夕焼け色から闇の色へと変わり始めている。
お互いまだまだ話したいことが沢山あるけれど、これ以上は藤原夫妻を心配させてしまうということで、しぶしぶだが解散することになった。
……ニャン太郎が僕を知っていたことに納得のいかない夏目君は、いまだにぶつぶつと不満を漏らしていたけれど。
中級達に見送られ、僕達はたわいもない話をしながら帰路へと着いていた。
「あ、僕の家、こっちの方なので」
「……ああ、じゃあここら辺で今日はお別れかな」
少し歩けば、比較的森の近くにある僕の住む家の前の十字路まで来た。夏目君の家とは反対方向らしいので、彼らとはここでお別れだ。
「あ、そうだ、ニャン太郎、先程は助けてくれてありがとうございました」
そういえば、妖を追い払ってくれたニャン太郎にまだちゃんとお礼を言っていないことに気づき、ぺこりと頭を下げる。
「だから、ニャン太郎と呼ぶな!……お礼は七辻屋の饅頭でいいぞ」
「おい先生!Aにたかるなよ!」
ニャン太郎呼びを怒りつつも、ちゃっかりと食べ物を要求してくるのはなんとも呆れたものだ。そんなんでいいのか(自称)大妖。
しかし、七辻屋の饅頭とはなかなか目が高い。あそこのお菓子ってどれも美味しいですもんねえ。
「いいんですよ、夏目君。皆で今度一緒にお茶でもしましょう」
夏目君にも助けてもらったし、ゆっくりお話もしたいですから。
そう言うと夏目君は、なら家に遊びに来ないかと誘ってくれたので、是非と頷いた。
「ーーーーじゃあ、またな!A」
「はい、さようなら、夏目君」
お互い手を振りながら、十字路を左右に別れた。
大分遠ざかってからも、名残惜しそうにちらりとこちらを振り返る夏目君。
しかし、そんな彼には悪いが、どうせまたすぐに会えるであろうことを僕は知っていた。
……………………………………………………………
ここまでで、やっと出会い編という名の序章は終わりとなります。思いのほか長くなってしまいました…。
次編からは、そろそろほかのキャラクターも出していこうかと思っています。
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ゆう(プロフ) - 更新待ってまーす! (2017年6月5日 0時) (レス) id: c901a87f20 (このIDを非表示/違反報告)
赤穂(プロフ) - 初心者で不慣れな執筆ゆえ拙い文章ですが、できる限り丁寧に、ご期待に添えるような物語を書いていきたいと思います。これからもよろしくお願いしますm(*_ _)m (2016年12月13日 23時) (レス) id: 3c77e80249 (このIDを非表示/違反報告)
赤穂(プロフ) - Sisselさん» アドバイスもたくさん頂き、本当に感謝しております。自分でも見落としていたミスに気がつくことができました。「中てられる」という言葉は、意味がまた違うんですね……汗 (2016年12月13日 23時) (レス) id: 3c77e80249 (このIDを非表示/違反報告)
赤穂(プロフ) - Sisselさん» 感想ありがとうございました。初めての投稿作品をこんなにも評価して貰えるとは思わず、今とても驚いております…( ゚д゚)ポカーン (2016年12月13日 23時) (レス) id: 3c77e80249 (このIDを非表示/違反報告)
赤穂(プロフ) - ゆうさん» ありがとうございます!自分でもびっくりで…更新楽しみにしてくださってて、嬉しいです〜 (2016年10月14日 1時) (レス) id: 9295142d7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤穂 | 作成日時:2016年4月3日 2時