チクリと痛む胸の正体。 ページ46
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「まぁ、糞生意気なこいつを啼かせるのも悪くない」
「……ば、馬鹿言わないで。」
唐突に落とされた爆弾発言に柄にもなく体温が上がった。
っていうか、何考えてんの、この人。
体の中のあらゆる体温が顔に集められたみたいに顔が途轍もなく熱い。それなのに爆弾発言を落とした本人は涼しい顔をしていて。それがまたムカつく。
「…リヴァイ、あれだけ女は面倒だとか言っておいて随分と身勝手な発言ね。案外やる事はやってるみたいね。」
「そんな暇すらねぇよ。」
「そうかしら、娼婦くらい買ってるんじゃないの？」
「今は買ってねぇ、今俺に必要なのは睡眠だ。」
「……それは言えてるけど。」
何だろう、と心臓に手を当てる。心臓が痛い、さっきからチクチクと細い針で何度も突かれているようだ。
…だけどこの気持ちの名前がなんなのか私は知ってる、そこまで鈍感じゃない、だからこそ、無意識にその気持ちに蓋を閉めた。
こんな気持ちは────不要、だから。
「部下に手を出すほど溜まっちゃいねぇから安心しろ、さっきのは冗談だ。」
「…笑えない冗談ね。」
「なんとでも言え。」
「……。」
リヴァイから顔を逸らす。嗚呼、心臓が痛い。息が苦しい。
全部、全部リヴァイが柄にもなく冗談を言ったせいだ。何事も無かったかのようにしてペンを持ち書類と向き合ったリヴァイをチラリ、と盗み見する、と、
「と、ととととと取り敢えずハンジさんに伝えておきます……！えっと……し、失礼しましたっ！！！！」
バタンッ、と物凄い早さでリヴァイの部屋を去っていったエレンの頬は少しだけ…否、かなり真っ赤だった。
鈍感なエレンでも何となく話の内容は察したらしい、…何だか悪い事をしてしまった気分だ。
だけど私は悪くない、悪いのは、元凶は全てリヴァイだ、と私も書類と向き直す。…その後は書類の内容が全く頭に入ってこなくて大変だった。
……何度も言うが、全部リヴァイが悪い。
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作者名：るかこ。 | 作成日時：2020年4月15日 11時
