ダイヤモンドリリー。[2]【リヴァイ】 (ページ38)

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ほんのり意外な人類最強。ページ38

通りすがる兵達がリヴァイを見て敬礼を施していく。こうしてリヴァイといるのが当たり前になってきた今、敬礼を向けられる事に慣れてきてはいるものの、矢張り慣れない。

初めは私も敬礼をした方がいいのかと思って、一人一人に敬礼をして行ったものだ。まぁ、それもリヴァイに「鼠(ねずみ)みてぇにちょこまかと動き回るな、邪魔だ糞野郎。」と言われたことによって無くなってしまったが。

「優秀って言葉じゃ片付けられないわよ、モブリットは…過労死しちゃいそう。」

「…糞眼鏡のせいでな。」

「当たり前よ、ハンジってある意味巨人よりも手強そうだしね。」

「馬鹿言え、巨人共の方が何倍もマシだ。」

「それは……心外ね。」

怪訝そうに顔を歪めるリヴァイ。これをハンジが聞いていたらまたギャーギャーと騒いでリヴァイに蹴られるんだろうなぁ、なんて。

すると少し目の前で歩いていたリヴァイが不意に足を止める、そのせいで私の足も必然的に歩みを止めた。リヴァイは足元を睨んだままピクリとも動かない。もしかして床が汚れているのだろうか、と私も足元に視線を落とした時、

「……俺もお前に紅茶を淹れてやってる。」

前触れなく落ちてきた低い声に首を傾げた。

…は？紅茶？どうして今紅茶の話？

「…リヴァイ、何度も言うけど主語が足りない。」

溜息混じりにそう言えばリヴァイはむ、と顔を顰めて私を黒曜石のような双眸に入れる。深い深い闇の色に一瞬だが心臓が嫌な音を立てた…事は気の所為にしておこう、否、気の所為であってほしい。

「だから、執務の合間に紅茶を淹れてやってるだろうが、俺なりにお前を気遣ってやってるつもりだ。」

「……。」

そういう事、か。リヴァイは俺も俺なりにお前の事を考えてる、と言いたかったのだろう。部下思いなリヴァイの事だ、不器用な気遣いだが、リヴァイなりの気遣いなのだろう。なんだか言葉足らずなリヴァイが面白く感じて口元を手で覆う。