異常者たち。 ページ36
「でもさぁ…ルイは兎も角、リヴァイは明らかルイの事特別視してるじゃん！」
そうだ、リヴァイはルイを見る時だけいつも鋭い目付きが柔らかくなる。ルイがリヴァイの執務を手伝っているとエルヴィンから聞かされた時はそれはそれはおったまげたものだ。今まで副官ですら要らないと言って聞かなかったリヴァイがルイに執務を任せているのだから。
───当の本人は気づいてないだろうけどリヴァイはルイに特別な感情を抱いてる。それなのに、
「あ？……何言ってるか分からねぇな。」
「うげぇ…、その歳でそれはちょっとヤバいよ、リヴァイ…。」
この歳にもなって、鈍感なのだから、困る。
「ハンジ、リヴァイが私を特別視してる訳ないでしょう？それにこんな暴力暴言男、こっちから願い下げよ。」
「あぁ゛？」
……ここにも鈍感がいるものだから、困る。
まぁ、私が首を突っ込んだところでだろう。この感情は自分自身で気づかなければ意味がない、ただ私達は異常者だ。いつでも死と隣合わせで、いつ死ぬのか分からない環境に立たされている。
だからこそ、手遅れになる前に伝えたい事は真っ直ぐに伝えないとどれだけ後悔してもしきれない。
もし、ルイが壁外でリヴァイを遺して死んでしまったら……と考えただけでも鳥肌が立つ。きっとリヴァイは平常心ではいられなくなるだろう、だからこそ、早くに気づいて欲しかった。
互いをそこまで大切にしているのなら、この感情の名前は……ひとつしかないだろう？
リヴァイとルイは二人で食堂を去っていく、見慣れた2人の後ろ姿を目に焼き付けたまま私は暫くの間その場から動けなかった。
．
．
「───狡いよ、ルイ。」
そんなリヴァイとルイの後ろ姿を私以外の誰かが見てるとは知らずに。
ルイを睨み、血が滲むほどに唇を噛み締め、フォークを持った手を震えさせた、ペトラがギリギリと奥歯を鳴らしていた事を、私は気づかなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 19人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：るかこ。 | 作成日時：2020年4月15日 11時
