ダイヤモンドリリー。[2]【リヴァイ】 (ページ29)

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雑用係。ページ29

─────紅茶の香りがしつこく鼻にまとわりつく。だけれどその味は絶品なのだから、文句は言えない。どうやら私は相当な甘党らしく、リヴァイお勧めの蜂蜜を紅茶に垂らすだけでさらに紅茶の味が華やかになり、私は蜂蜜入の紅茶にどっぷりハマっていた。

それにしても

「…流石にこの量は頭が痛くなってくるわね。」

「エルヴィンに言え、追加書類を次から次へと寄越してくるのは紛れもないアイツだ。」

「人間の皮を被った鬼ね、ああ、怖い。」

「奇遇だな、俺も同じ事を考えてた。」

ふ、と鼻で笑ったリヴァイは慣れたように書類に記入していく。リヴァイの執務を手伝うようになってから一週間、私はとことんリヴァイにコキ使われるようになってしまった。

時間が空けばリヴァイの部屋に来て、執務を手伝わされている。意外なのは私はこういう仕事が嫌いではないということ、自分でも驚いた。文を綴り、書くのは好きだ、だけどエルヴィンが寄越してくる書類はその限度を遥かに超えている。

『女型の近況報告書。』と書かれた書類を一枚手に取る。どうやら女型の巨人は地下牢で厳重に閉じ込められているらしい。水晶に入ったまま、刃すらも通さない為、どうする事も出来ないらしいが知性のある巨人を一匹捕まえた、それは大きな一歩だろう。

「リヴァイ、」

「なんだ。」

光を通さないような漆黒の刈り上げられた髪から覗く黒曜石の様な瞳が私を捉える。

「この書類はリヴァイがやって。」

「……ああ。」

私が放り投げた書類を見事にキャッチしたリヴァイは怪訝そうに書類を見るも、その内容に小さく頷いた。女型の巨人との闘いにも参加したことのない私が記入する事なんて出来ないから。

リヴァイは眉間に深く皺を刻み、ペンをクルクルと器用に回しながら視線だけを動かしている。文才が得意ではないことくらいすぐ分かるくらいにリヴァイの提出する書類は斬新だ、何がって、内容が。例えるなら、一言で締めくくる。簡潔に、否、簡潔過ぎる。