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｢和也くんどこもいないじゃん｣
｢黒崎のやつが、佐伯くんが図書委員になったって言ってたもん｣
複数人の女の子たちが残念そうな声を漏らしながら図書室を出ていく。
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自分の心臓の音がうるさくて焦った。
それが、女の子たちに見つかる不安からなのか、
佐伯くんが近くにいることからなのかは分からなかった。
体が触れ合っているぐらいの近い距離に佐伯くんがいた。
石鹸の香りが鼻をくすぐった。
あのころと変わらない二宮くんの、匂いだった。
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ドアが閉まる音が消えると図書室は一気に静かになった。
安堵かため息かわからない息を佐伯くんはついた。
私はまだ1人ドキドキしていた。
｢もう大丈夫だよ、早く出てきなよ｣
既に隠れるのをやめていた佐伯くんが私を見下ろしていた。
私は慌てて立ち上がる。
｢大変だね…｣
思わず声が漏れた。
｢本当に大変だぞ？ モテる男ってのは｣
佐伯くんは得意げな顔をして言って、
｢あんたの彼氏も大変なんじゃないの？｣
と続けた。
｢大変だよ｣私の言葉はポツリと落ちた。
｢あんなに堂々と一緒にいて女の子からいじめられたりしないわけ？｣
｢最初はしたよ。呼び出されたことだって、上履きを隠されたことだってある｣
｢うへぇ古典的｣
｢だけど、｣
｢だけど？｣
｢守ってくれるから。 大野先輩が守ってくれるから｣
大野先輩はいつだって私を見ていてくれた。
私が元気ないときだってすぐに気づいてくれて必死になって。
私の悪口をわざと聞こえるように言う女の子のところまで行って、怒ってた。
それで嫌がらせも随分減った。
こうやって隠れることもしなくてよくなった。
｢ふぅん｣
佐伯くんはメロンパンの包み袋を開けながら相槌を打った。
だけど、大野先輩、今日は来てくれなかった。
電話をかけても出てくれなかった。
いつもならすぐに出て、血相変えて飛んできてくれたのに。
過保護なくらいに。
それだけのことで落ち込んでしまう私はなんて欲張りなのだろう。
｢辛気くせぇ顔すんなよ｣
そう言って佐伯くんは私のお弁当に入っていた卵焼きをつまんで食べた。
｢メロンパンいる？｣って佐伯くんの食べかけを差し出されたけど首を横に振った。
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流花(プロフ) - keiさん» 初めまして！どちらも読んでいただけてるんですね、ありがとうございます(；；)とても嬉しいです！ 私も青色寄りなのですが黄色さんも大好きで(o´艸`) これからの展開どうなっていくか楽しみにしていただけると幸いです(*´∀｀) これからもよろしくお願いします！ (2020年5月18日 11時) (
レス) id: ec6c78779c (このIDを非表示/違反報告)
kei(プロフ) - 初めまして。お話とっても楽しみにしてます。もうひとつの方も！青坦ですが黄色さんも好きです (2020年5月17日 1時) (レス) id: b8ead91f6d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：流花 | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/uratsuku_ruka
作成日時：2020年5月5日 16時
