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「なんか元気ないね」
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一緒に帰っていると、大野先輩が私の顔を覗きこんで言った。
「そんなことないですよ」私は視線を逸らして言う。
「ふぅん」と一度は引き下がったという風だった先輩だったけれど納得はしていなかった。
「そんなことない、って顔じゃないよね？」私の頬に先輩の華奢な手が伸びた。
「そう、ですか…？」
「うん。 俺がどんだけ君のこと好きか分かってないでしょ」
「……」
「こんなに恥ずかしいこと言わせといて無視すんなよ」
少し荒々しい口調は、まるで先輩じゃないみたいだった。
あんなに穏やかな先輩が怒っているみたい。
私が怒らせている。
「……ごめんなさい」
「俺は別に謝ってほしいわけじゃなくて」
「……」
「黙り込むのやめれば？」
「……ごめんなさい」
「……」
先輩の一つの瞬きが妙に長くて、その表情からは今にもため息が聞こえてきそうだった。
でも、｢ごめんなさい｣以外の言葉が見つからない私は語彙に乏しい幼稚園児みたいに固まった。
そんな私を見兼ねた先輩が「もういいよ」って言う。
頬にあった手は私の頭の上に移動した。
「無理に聞こうとして悪かった。 言いたくないなら言う必要なんてないよ」
「…」
「今日はここでいい？ 俺、用事あったの思い出した」
「……大丈夫です。 ありがとうございました」
恋人同士とは思えない会話が、暗くなってきた景色に溶けこんで沈んでいく。
軽く頭を下げて、上げたときには既に先輩の背中しか見えなかった
先輩と、喧嘩をした。
あんなに優しい先輩を怒らせてしまった。
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「やっぱりお話がしたいです……」
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気づいたら私は先輩のところまで駆けていって、まるで迷子の幼子のように彼のシャツの裾を掴んだ。
「分かったよ」
その手を握って先輩は言った。
先輩の微笑みは優しかった。
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流花(プロフ) - keiさん» 初めまして！どちらも読んでいただけてるんですね、ありがとうございます(；；)とても嬉しいです！ 私も青色寄りなのですが黄色さんも大好きで(o´艸`) これからの展開どうなっていくか楽しみにしていただけると幸いです(*´∀｀) これからもよろしくお願いします！ (2020年5月18日 11時) (
レス) id: ec6c78779c (このIDを非表示/違反報告)
kei(プロフ) - 初めまして。お話とっても楽しみにしてます。もうひとつの方も！青坦ですが黄色さんも好きです (2020年5月17日 1時) (レス) id: b8ead91f6d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：流花 | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/uratsuku_ruka
作成日時：2020年5月5日 16時
