連絡先 ページ8
できた……
何年も、何年も書けなかったはずのものがすらすらと書けた。
それはとっくに明るくなり小鳥も元気に朝の挨拶をしている。
それでもまだ私の頭の中ではアイデアが止まらない。
もっと書きたい、もっと、もっと。
ほんの少しの罪悪感が私にインスピレーションを与えてくれた。
あぁ、私に足りなかったのはこれだったのか…
また机に向かおうとすると不意に扉が開き
「おはようAちゃん」
と寝癖がぴょんぴょんしている頭に眠そうな目を擦って起きてきた彼の姿が見えた
「もしかしてずっと書いてたん？」
「うん」
「もー、寝なあかんよ？俺は準備したら仕事行くからね？」
「うん」
「今日も帰り遅くなるから戸締りとか気付けてね？」
普段よりもやたら心配されているのが胸に引っかかる。
「大丈夫だから…早く準備しないと遅刻するよ」
せやった、といたずらっぽい笑みをうかべ部屋を出ていった。
また作業をしようと机に向かうが、さっきまで浮かんでいたはずの溢れ出るアイデアはどこかへ飛んでいきまた何も書けない私に戻ってしまった。
ドタバタと玄関を出ていく音を聞きながら、私はまた何も書けず白紙でずっとこのままなのかと寝転んで目を瞑る。
…
すばるさんの連絡先……
連絡してみようかな……
一回寝てからにしよう。
寝て、もしもまだ連絡してみたかったらすればいい……
そうしよう……
でも、なんでピックケース渡しただけなのにお礼？……
自惚れかな…もしかして……また会いたいってことかな？
そんなわけ……でもメンバーの彼女に手出す？
ぐるぐると頭の中に色々考えが浮かぶ。
どうにでもなれ！
と勢いに任せて送ってしまった
『ご連絡遅くなってすいませんAです。ご迷惑だと思うので特にお礼は大丈夫です。ただ必要なものをお渡ししただけなので。』
続く
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作者名：ときめき★メモリアル | 作成日時：2018年11月14日 14時
