君は蜜柑私は芋虫 (ページ5)

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ピックケースページ5

化粧を落とし適当な服に着替え私はまた、いつもの様に何も思い浮かばないあのパソコンの前にじっと座っている。

空を見ていても
掃除をしてみても
買ったものを整理していても

何も思い浮かばない

何も思いつかない

普段は吸わないタバコを手に取り火をつけようした時彼の忘れていったスマホが震える

【着信】しぶやん

電話が切れるとメッセージが入る

しぶやん俺のピックケースお前持っとるやろ?

しぶやん返せ

確かにテーブルには見たことの無い箱というか入れ物というかなんというか不思議な缶？が置いてある。

きっと彼のものだ

もう一度彼から着信がはいる

きっと必要な物なのだと少しの罪悪感を感じる前に電話を手に取った

『もしもし、丸！？今すぐそれ必要なんやけど、返s…｢あのっ！！｣……えっ……？』

少し慌てている渋谷すばるの声がなんだかとても面白い。

｢すいません……あのっ……彼今仕事に行ってまして……その……｣

『えっ……あっ……丸、仕事か……』

お互い人見知りのせいもあり先程までの勢いのなくなった彼と少しぎこちない会話が始まった

｢いえなんか、勝手に出てしまってすいません……お急ぎのようだったのででてしまったのですが……お届けしましょうか？｣

彼は近くのカフェにいるから届けて欲しいと頼んだ。
電話を切ると急いで化粧をし、先程脱ぎ捨てたワンピースを着て急ぎ気味に渋谷さんのところへ向かった

彼はテレビやライブで見るよりも顔が整っていて、適当な化粧で、来てしまったことを後悔した。

｢あのっ……渋谷さんですか？｣

｢あっ、はい……そうです｣

めんどくさそうに嫌そうな顔で答える彼はきっと私がファンか何かだと思っているようだった。

｢あのっ……コレっ……｣

彼にそれを見せるととても驚いた顔をして私の顔を見た

｢あっ！？そのっ……ファンか何か思って……いや、そのっ、すいません…ありがとうございますわざわざ……｣

困った笑顔で彼は、私に謝る。
それがなんだかおかしくて私は思わずふふっと笑ってしまった。
すると彼はもっと困った笑顔でこちらを見てくる

｢いえいえ、すいません私こそなんか、なんだかコロコロ表情が変わって面白くって｣

｢そうですか…｣

と彼は恥ずかしそうな顔をして、下を向いた。

｢あ、じゃあ用は済んだので私はこれで｣

｢まって、あの、これ、連絡先……お礼したいんで｣

私は簡単に受け取ってしまった。