希望に混ぜて絶望を。【短編集】

カレが思うに甘えんぼうな彼はすこぶるも悪くないけれど反省してほしい。 ページ25

*ロンロンさんリク


「ちょっとカムクラちゃん!!!絶対聞こえてるでしょ!!?早くAちゃんから離れてくれない??!!」

「………………………、」


「はぁああっ!!?なんでもっとくっついてんの?!!!」


今日はなんと!オレの誕生日!!!

愛しい愛しいAちゃん♡♡から、プレゼントとケーキをもらってご満悦状態なオレだったんだけど。

なぜかどこからかふらり…と急に現れたカムクラちゃんが、Aちゃんを抱きしめて一向に離さないのだ。

これには普段温厚で仏のようだと有名な俺でも憤慨だよ!!ブチ切れだよ!

しかも今日はオレの誕生日だよ!!?(2回目)

今日ぐらいAちゃんを好きにしたっていいじゃない!むしろそうするつもりだったのにさぁ!


「っ…ていうかさぁ…カムクラちゃん、Aちゃんになんの用なの?」

「…抱きしめたくなったので来ました」

「恋人かよ!!!ふざけんなっ!!今日はオレの誕生日なんだよ!?さっさと離れてAちゃんと抱きしめあわせて!」


イライラしながら話しかけても、つまらなそうにオレを一瞥するだけでAちゃんのやわらかそうな身体に顔を埋めるだけで。



『…ぅう…!!なんでめでたい日に、大好きな人が違う人と一緒にいる姿を見なきゃいけないのだ…!』



虚しい気持ちがせりあがってきて、なぜか泣きそうになった。


…普段からAちゃんみたいに好かれているなら、ともかく…オレはウソツキで全然好かれてないのに。むしろ逆なのに。

でも今日は誕生日だから…それでも皆、オレに祝いの言葉をかけてくれたりプレゼントをくれて。


どれも嬉しかったけど…でも1番嬉しかったのは、やっぱり大好きなAちゃんで。

可愛い笑顔をオレだけに向けてくれて…すごく嬉しくて。

だからこそ…今日だけはそんなAちゃんと一緒にいて、すごく幸せな気分になれると思ったのに。



「…っ……、」



日頃の行いが悪いからなのだろうか。…でも今日ぐらいは許してほしいのに。

好きな人と一緒に居れると思ったオレがバカだったのかな。



「………王馬小吉?」



うつむいて必死に堪えているオレに、カムクラちゃんは不思議そうに声をあげた。

どうやらオレの様子がおかしいことに気がついたみたいだけど。


『…っお前に呪詛の言葉でもかけてやる!!!』


じろりと睨んで顔をあげてみれば…Aちゃんが、いつの間にかカムクラちゃんから離れて…て…??あれ…?




「王馬くん」



聖母のようにオレに笑うちゃんは、両腕を広げると…優しい声色で言葉を紡いだ。





「おいで」





＿＿＿＿＿＿＿…うぅ、

ウソツキの代償は思わぬ形で自分に返ってくる。→←正反対な性格同士だが本来は真逆の性格同士だったのだ。

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