妹に疎まれている。【伊弉冉一二三】

居候ディスカバリー/有栖川帝統 ページ33

すっかり朝も冷え込む今日この頃。

通常なら夕方から仕事だから、朝ごはんを作った後に二度寝をしているのだが、今日は月に一度のゴミ捨て場の掃除の日。

否応でもやらないといけなかった。


「…ふぁ…ああぁ…」


玄関先で靴紐を結びながら欠伸を殺す。


眠い頭。涙で滲む視界。閉じても閉じても欠伸で開く口。

そんなぼんやりとしたコンディションだからだろうか。




「…ちょっと」





後ろから近づいてくる人影に全くと言っていいほど気が付かなかった。


反射的に後ろを向くと…むすっとした顔で今日も今日とて可愛いAが、腰に手を当てて立っていて。


「邪魔。靴履けない」

「ぇっ…あ……ごめん…!」


一気に目が覚めた。

慌てて立ち上がって横にずれると、迷惑そうな顔で睨まれる。

そして変わらない怒ったような表情でローファーを履いたA。


『あぁ…うぅぅ…仲良くなれたとか思ってた俺っちってバカだった…?』


最近Aとの距離が前に比べたらとんでもなく縮まっているような気がしていたんだけど…もしかして…気の所為…?

泣きたくなるような事実に1人思い耽っていると、ちらりとAの服装が目に入る。


「っ…うぉ…」


俺っちは確かに女性が全部苦手だけど…Aは例外だ。

もちろん妹…として見ているつもりなのだが……いや、まさか?


「……………、」


Aは平然としているが…よくよく見ればなんだその…スカートの短さが目立ちすぎた。

ニーハイを履いていればいいとかいう問題じゃないし!!!

むしろ絶対領域?が見えてとんでもねぇし!!?


指摘しようと口を開いて…すぐに閉じた。だって睨まれたんだもん…。


「………いってきます」


それでも僅かに聞こえた呟きは俺の耳によく聞こえて。

思わず顔を上げると、耳が僅かに赤くなったAの後ろ姿が見えた。


「っいってらっしゃーい!!!!A!!!」


大きく手を振って笑顔で送り出す俺。


『…あぁ、今日はなんかいい事ありそー!!!』


だって、だって!!

なんだかんだ言って…やっぱりAはだんだん俺っちのことを許し始めているのかも。



ああ…前みたいにいっぱい喋れるかなぁ。喋りたいなぁ。



満面の笑みでそう思うと、俺は近くにあった掃除用具を手に取



「っっっおぉぉおにい!!!!」



ったところ、先程閉じられた玄関の扉が勢いよく開かれた。

そこには真っ青な顔のAがいて…って、え…?




「おぉぉおにいぃ…!!人!!!人倒れてんだけど?!!」

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