夢が見たかった。【第五人格】 (ページ27)

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「フィオナさん。お願いが……。」

「ど、どうしたのそんなにげっそりして？！」

数日前、ナワーブさんに怒られた日からイライに異変があった。

やたらと私にハスター愛を語るのだ。

それはもう、永遠と。

「──てことなんだけど。」

「悪いけど、力にはなれないわ。ごめんなさい。」

「え？」

フィオナさんは胸に手を当て、目を瞑った。

「神は私にこう言っているわ。独り占めできない、と。」

なんだよそれ！！！！！！

とか思ったけど口には出さない。

「悪いわねAさん！！私は行かなければ！」

そう言って鍵穴で屋敷の中をくぐり抜けていった。

ここってアイテム使えるんだね…。

*

「ちょっといいか？」

ノロノロと行き場もなく歩いている私に、ナワーブさんが声をかけた。

「その、イライのことで気になったんだが。俺の呼び方も、…その。」

もじもじと言う彼はとても可愛く見えて、ついつい意地悪をしたくなる。

「ナワーブくん！」

「それ、も、良い、んだけど……。」

「え、ナワーブちゃん？」

目の前で顔を赤面させるのは、もっと可愛い。

流石に可哀想かな。

人として最低なことをしたなぁ…。

私はへらへらと笑って、

「"ナワーブ”。」

するとあからさまに喜ぶ表情をした。見てると私も嬉しくなっちゃう程に。

「それで呼んでくれ！！」

彼は、「この喜びをリッパーに自慢してくるぜ！」と言って肘当てを使いあっと言う間に階段を駆け上がっていった。

本日二回目、此処ってアイテム使えるんだね。

そして、横からか細い声がした。

「あの、すみません…。あの、新しく入った者でして…。あっ、イソップカールと申します…。」

見た感じだととても内気。マスクとその大きい箱は謎だ。

「よろしくお願いしますイソップさん。私は奏者のAです。」

「敬語なくして頂ければ…。」

「え、そんないきなり──」

「その方が、貴方にはとても似合います。」

とろんとした目で言うから、その瞳に引き込まれてしまう。

新しく来た彼には、常人とは違う匂いがした。