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「う、ハスター様ああああああああ！！！」
彼は朝からこうだ。
ずっと叫んでいる。そんな大声だと苦情来るよ。
「何の躊躇いもなく吊るんだ…！！！」
「悲しいね…。」
遡ること数時間前......
それは何も考えず朝の散歩程度に歩いていた時のこと…。
「＿＿＿＿ｯ!!!!!」
廊下の奥の方から叫び声が聞こえた。
近付くと、そこには占い師ことイライクラークさん。
なんとなく怖い雰囲気があって初日しか喋れてなかったんだけど…。
祭司のフィオナさんから聞いたところ、ハンター陣営のハスター様が狂おしい程好き…だとか。
フィオナさんもイライさんもそういう人だもんね…。
ハスターさんを見かけると飛びかかってた、とか他の人から聞いたり聞かなかったり。
「…Aさん？」
何事も無かったようにケロッと振り返った。
「いや、叫んでたから…。」
「すみません！でもハスター様が…っ。」
そこでイライさんの何かが切れたのか、蹲ってまた叫び始めた。
土下座されてるように見られても仕方ない体制。梟も慌ててるよ…。
「部屋戻った方が。」
「そうだな＿＿＿あう、力が入らない。」
「…。」
泣き潰れていたイライさんを放置する訳にもいかないので、肩を貸して部屋に連れていく。
「部屋どこ？」
「ハスター様が描かれたドアだ…。」
どれほど拝んでいるのかが分かる。
「入るね。」
ドアノブを捻る。
イライさんの部屋は必要最低限の物しか置いていないようだ。
ハスターさんの物が沢山あるイメージだったけど。
「Aさん、僕の話を聞いてくれないか。」
「？良いけど…。」
こうして冒頭に至る訳だ。長かった。
イライさんは泣き潰れたってよりは、酔い潰れてる。
ハスターさんに捨てられた子犬みたい。
私に縋り寄ってくるのが可愛く見えてきた。
目元見えないけど感情わかりやすい。
「ハスター様…うぅ。」
未だに唸っているイライさんの頭を撫でる。
フードを深く被ってて気付かなかったが、柔らかい髪の毛と唇。
可愛い顔してるじゃん、なんて変態染みた感想を残す。
＿＿目も見たいな。
好奇心に負けて、彼の顔に手を伸ばす。
「イライさん、ごめんなさい！」
アイマスク？をゆっくり上にあげる。
何故か怖くて目を瞑った。
そして上げ終わり、目を開ける。
イライさんの青い瞳は私を捉えていた。
お、起きてる…？
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作者名：焼きイワシ | 作成日時：2018年10月3日 0時
