｢ブン太｣次元の狭間〜逆トリップ｢リョーマ｣

君たちとの時間〜17set ページ17

少女はソファに寄りかかるように眠っていた。

そっと丸井が抱き上げソファに寝かせると幸村が椅子にかかっていた少女の物であろうカーディガンをそっとかけた。

｢これ用意してくれたんだね…｣

ふと机に視線を落とし不二が言う。

｢いつ…帰れるんやろ…｣

いきなり呟いたのは遠山だった。
皆黙って空気が重くなる。

そりゃあいきなりこんな風にトリップして…信じられない上に帰り方が分からず帰れない。

怖い…

不安…

戸惑い…

いろんな感情が混ざり合っている彼等。

だけれど…

｢……｣

｢越前？いいんだよ？僕達は先輩なんだから頼っても。｣

｢不安なんだろぃ？｣

｢大丈夫だよ？｣

先輩だから…

年上だから…

たった1、2年先に生まれたというだけて不安や怖さを口に出せない者もいて…

｢…｣

それを遠山も越前も感じ取ったのだろう。ただ皆黙り込みそれぞれの心に引っかかるものを呑み込んだ。

泣きたくたって泣けない…

ただ少女に迷惑はかけられない。
そんな思いが強く、なかなか口にも出せなかった。

帰りたい。

合宿で家を空けることはあった…

大会で家を空けることもあった…

だけれどそれは自分達の知ったrealの世界。

今回は訳が違う。
全く持って知り得ない世界。

少年達からすれば異世界であり異次元なのだから。

thymetrip。
それは不安で寂しいもので…

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