episode.4 ページ4
次の日の朝。
今日は遅刻しないように、昨日より少し早めに出て最寄り駅まで歩いた。
電車通学はまだ慣れないが、ちょっとだけ社会人っぽくなれたような気がして気分がいい。
改札に入って向かいのホームへ行くために階段を上り、最後の一段をに足をかけたその時。
ドンッ
…嘘でしょ……
地面に叩きつけられる衝撃とともに、背負っていたリュックの中身が全てホースから吹き出す水のように何とも綺麗な放物線を描いて飛び出した。ファスナーを開けていたことに今更気づいたがもう遅い。
完全に昨日のデジャブだこれ。何なら昨日よりも酷くないか。
3秒ほど硬直していると、なにやら走っている人の影が前から近づいてきた。どうやら同じ学校の生徒のようだ。
「大丈夫っすか!?」
「大丈夫に見えますかねぇ」
「ははは、多分大丈夫っすよ。いけますいけます」
なんだコイツ。舐めてんのか。
なんだかんだ言いながら教科書とノートを拾ってくれたが、そんなことをされると余計にこの人が何を考えているのかわからなくて怖い。本当になんなんだ…?
「じゃ、俺はこれで。ちなみに不破湊っていいます」
「は、はぁ…」
もう唖然としてまともな声も出ない。
「その制服、同じ学校ですよね!そっちは何て言うんですか」
「A、Aです」
「A…A……って、君もしかしてあいつが言ってたあのA?」
あいつ…?
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作者名:miya | 作成日時:2023年10月20日 0時