episode.3 ページ3
「あ、朝会った人だ」
「ここここんにちは…。あのときはありがとうございました」
コミュニケーションに少なからず難があることは自覚済みなので、取り敢えず最低限の挨拶とお辞儀をしておいた。2人の目に変な風に映っていないことを祈る。
「知り合いか何かなの?この人」
怪訝な顔で覗き込んできたのは男の先輩の方。紫色の髪に整った顔立ちをしていて思わず一目惚れしてしまいそうだが、さっきの会話内容を思い出して踏みとどまった。ロリコンかもしれない。いやきっとそうだ。そうに違いない。
「この子は始業前の時に…」
「なるほど…」
一通り説明が済むと、男の先輩も納得したような顔で私に話しかけてきた。
「あなた、名前なんですか」
「一応、AAって言います」
「私は月ノ美兎で、こっちが」
「剣持刀也です」
「月ノ先輩、剣持先輩、ですね!ありがとうございます」
2人とも綺麗な名前だな。何回も呼びたくなってしまう。
「では、僕たちはそろそろ集まりがあるのでこれで」
「了解です。さようならー」
「生徒会にいるから役員になろうと思ったらいつでも来てね!!歓迎してるから!!」
「すぐ勧誘するじゃん…」
満面の笑みでこちらを振り返ってくれる月ノ先輩と、呆れ顔になりつつも微笑ましそうな剣持先輩。
2人の素敵な関係性を目の当たりにして心が少し暖かくなるのを感じた。生徒会役員なのは初耳だったけれど、改めて見るとそれ相応の貫禄のようなものが2人の背中から垣間見て取れる。
今度、少しだけお邪魔してみようかな。
8人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:miya | 作成日時:2023年10月20日 0時