4.これが普通 ページ5
それからというもの僕たちの名前は呼ばれなくなった。
きっかけは多分、この時だったんだと思う。
スズメの血を狂った表情で吸う姉を何もせずにただ見ているその弟。両親からすれば異質そのものだ。
この日を境に、両親は僕たちを自分の子供として捉えなくなった。
まぁそんな事件から早10年。僕は中学2年生になった。10年生きてきてヒロアカの登場人物たちには誰一人として会えていない。まじでどこに隠れているんだ。
あ、ちなみに相変わらず個性は発現していない。
⋯このまま一生発現しないままなのかな。
両親と会話をしようと思っても冷たい反応から、暴言、更には暴力など僕たちが成長すると共に両親からの当たりは強くなるばかりだった。
そんなことが続いたからだろうか、いつの間にかお姉ちゃんは“普通の子供”になった。本当に突然の事だった。
『──お姉ちゃん、また僕になりたいの？』
お姉ちゃんは不安になるとすぐに僕の所にきて血を求める。
「⋯⋯だめ？」
『(うっ、その顔はずるいよ！大好きなお姉ちゃんに上目遣いでお願いされて拒否るような弟がいたら出てきて欲しい。僕の気持ちをわかってもらえるまで話し合おうじゃないか。ただし異論は認める。)
⋯いいよ』
「ふふ、Aだけです、本当の私を受け入れてくれるの」
トガヒミコが漫画のキャラだからって言動のひとつひとつに興奮はしない。トガヒミコは推しじゃなくて、大好きなお姉ちゃんだから。お姉ちゃんじゃなかったらこんな風に砕けた口調で話す事すらできなかっただろう。
『僕も⋯僕の家族はお姉ちゃんだけだよ。できるだけ痛くしないでね』
「わかってますよ〜」
いつの間にか僕に対してもたまに敬語のようなものを使うようになった。弟の僕には遠慮なんかしなくていいのに。
これも全部両親のせいだ。外面だけは良いからヒーローにもきっと頼れない。本当に厄介な両親だ。
それに、僕は力がないからお姉ちゃんを守ってあげることもできない。
「チウ⋯チウ」
お姉ちゃんが僕の首元に近づいた。吸血鬼に血を吸われるのってこんな感覚なのかな。
両親の普通がお姉ちゃんにとっては異常だったし、お姉ちゃんの普通が両親や世間にとってもまた異常だったのだ。
これは僕の推測でしかないけど、お姉ちゃんはただ“普通”に生きたかっただけなんだと思う。
──僕たちは、“普通”を知らない。
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るちあーの(プロフ) - 美園さん» 夢主くんは心操くんのこと詳しく知ってるけど心操くんはよく知らないからこその発言なんですよね⋯心操くんに関しては大分そこを意識して書いていたので美園様に気づいて貰えて嬉しいです！！！！ (2023年3月30日 21時) (
レス) id: d5117bafb0 (このIDを非表示/違反報告)
美園(プロフ) - うぁすごい…色々な夢小説みて、心操君への言葉そこで救われるよなぁ…わかるわかるて思ってたけど！！確かに考えてみれば…ヒロー科から言われてもなぁてなるやん！！てこの小説見て思いました…割と最初の方からこの小説読んですが…ほんと全てに置いて好きです (2023年3月30日 19時) (レス) @page50 id: eb4d0094ad (このIDを非表示/違反報告)
るちあーの(プロフ) - amoさん» ひぇっ(˶ᵒ̴̶̷̥́ ^ ᵒ̴̶̷̣̥̀˶)漫画見ながらゆるゆる書いてるのでそう言って下さって何よりです⋯!!再会する場所は決まってるので早く再会させてあげられるように更新頑張ります！ (2023年3月4日 23時) (レス) id: d5117bafb0 (このIDを非表示/違反報告)
amo(プロフ) - はっはっ(過呼吸)最高です。控えめに言って最高、ちゃんと丁寧ですし読みやすい。本当に初作品ですか…？トガちゃんとの再会を待ってます。トガちゃん… (2023年3月4日 18時) (レス) @page39 id: 451f22a787 (このIDを非表示/違反報告)
るちあーの(プロフ) - 吾輩は非ログであるさん» ありがとうございます!!夢主くんの活躍を早く読者様に見てもらいたいのでこちらも全力で頑張らせていただきます！ (2023年2月19日 17時) (レス) id: d5117bafb0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：るちあーの | 作成日時：2022年7月31日 1時
