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拭えられない不安 ページ1

夕方、かなりの距離を歩いた気がする。
17時半を告げる鐘がなり、Sansが私達に声を掛けた。
「そろそろホテルに戻ったほうがいいかもな…しかし、まぁ、かなり回れたな。全部回れたんじゃないか?」
「そうだなッ!」
「だね……はぁ、ちょっと疲れたね」
「明日はどうする?回る所もだいぶ回っちゃったし」
「海行きたい!」
「えー……」
明日からどう過ごすのかを話している。
私はそれを右から左に聞き流した。
今は、そんなことを考えている場合じゃなかった。

先程の背筋が震えた事やCharaの話……それらで頭が一杯だった。
……今まで、背筋が震えたことはある。
彼が死んだと知らされる前日、嫌がらせに気付く数時間前……血が冷え固まって体温がグッと下がるあの感覚。
嫌な予感、どうあがいても不安から抜け出せられない。絶対に回避できない。
そんな風に感じ取ってしまう。

「──アスナ?」
「へ?」
「大丈夫?」
「え、あ、はい。大丈夫です……す、少し、疲れてるの、かも」
「そっか……明日はゆっくりしようって話しててさ」
「そう、ですか……」
ちょっと安心したが、未だに不安から逃れられない。
「じゃあ、またあとで」
「あっ、はい。ま、また。」
エレベーターホールへ行ったのを見て飲み物でも買いにいこうと思い、自動販売機が並んでいるところに向かった。

「(えっと…烏龍茶、は…)」
500Gを入れ、自動販売機のボタンを押そうとしたが。
「あーすなっ!」
「うぇあ!?えっ?えっ?」
「……あー。ごめん。そこまで驚くとは思わなかった」
「え、あ、い、え……あ。」
自動販売機のボタンを押し、ガタンっ…とペットボトルが落ちた音が聞こえ、ペットボトルを取り出した。
「え、っと……どぞ」
「え?いいの?」
「はい…」
少し考える仕草をして、ボタンを押した。
ペットボトルとお釣りを取り出し、お釣りを私に渡した。
「ありがとう」
「いえ……」
「話をしようか」
「あ、はい。じゃあ」
「うん。……というかアスナの部屋じゃなくても良いんだけど……大丈夫?」
「え、あ、はい。大丈夫です」

自室より、ホテルのきれいな部屋のほうが何倍も何十倍もいい。
いや、女子の部屋に入れるのがだめなのだろうけど……。
それでも、自室よりはマシだ。
「アスナが良いなら、良いんだけど…」
う〜ん、と唸り声を上げている。
「……まぁ。いっか。」
「行こう。」と言われ、エレベーターホールへと向かった。

話→



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藍霜月(プロフ) - 紅奈虹夢@虹茶さん» コメントありがとうございます!舞いですか…!‹‹\(´ω` )/››‹‹\(´ω` )/›› 神作品と言って頂いて嬉しいです…! (5月3日 22時) (レス) id: 64f8ddb167 (このIDを非表示/違反報告)
紅奈虹夢@虹茶(プロフ) - 更新されてた..... 嬉しすぎて 舞い踊りたい気分です!! 神作品をありがとうございます (5月3日 21時) (レス) id: 763d4d21f9 (このIDを非表示/違反報告)
藍霜月(プロフ) - 零科さん» コメントありがとうございます!更新頻度が落ちてしまって申し訳ないです…。最高といって頂いて嬉しいです…! (5月3日 21時) (レス) id: 64f8ddb167 (このIDを非表示/違反報告)
零科 - 久々の投稿......!今回も最高でした😊 (5月3日 21時) (レス) @page33 id: b0328d2f31 (このIDを非表示/違反報告)
兎妬 ぅさ子(プロフ) - 😆😆😆 (4月7日 16時) (レス) @page31 id: 75fc25324b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:藍霜月 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2024年2月4日 13時

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