十七粒目 ページ18
「はい、『時間が分かる薬』。あんまり試験してないから、効果に違いが出てくるかもしれないけど…不具合があったらまた来てね」
淡く金色に輝く薬を物間君に手渡す。
この光景だけ見てしまうと、ヤバイ取引っぽいけれど、全然そんなことない。ヒーロー科とサポート科のやり取りだからやましいことはない。
今回のは、体内時計を正確にするための薬。
彼の個性は時間に限りがあるから、作ってみた。
ちなみに、物間君に頼まれて作ったものじゃない。
「ん、ありがとね。それにしても…僕のためにいつも薬作ってるだなんて、君ってよっぽど暇なのかい!?」
「ひ、暇というかその…勉強にもなるし、結構授業でも役に立ってるんだよ…？」
…ごめん、本当は半分くらい嘘。
確かに授業でも役に立ってるけど、私の作りたいという欲の大多数は『物間君の役に立ちたい』っていうこと。
薬を作っていると、物間君が頭によぎるから、どうしても彼のための薬になっていっちゃう。
「ふぅん…へぇ…」
「なんなの、その意味ありげな相槌…怖いんだけど」
今の物間君は、人に嫌味なことを言う時よりもニタニタと笑みを浮かべている。
何を考えているのか全く分からない…。
「ね、ねぇ…どうしたの？」
「…なんでもないさっ」
物間君はフイっと横を向いてしまった。
心なしかうっすらと汗をかいていて、頬が赤くなっているようにも見える。
熱が出ていたらどうしようか。
「…あの、涙川さん？そんなにこっち見ないでくれる？」
「へ？」
あれ、そんなに彼のことを見ていたっけ。
見つめていたことの事実が私の顔を熱くさせていく。
かぁ…っ
そんな効果音がお似合いな顔をしているんだと思う。
「る、涙川さん真っ赤だぜ？」
「物間君だって、耳まで赤くなってるじゃないっ」
一体何に照れ合っているんだろう？
疑問が私たちの間に広がっていくけれど、それを打ち消すくらいに愉快で温かい気持ちが胸に溢れだしてきた。
あっははは！！
私の工房にはしばらくそんな笑い声が響いていた。
こんな日常がずっと続けばいいのに。
物間君とこうやって笑っていけたらいいのに。
心はそんな邪な感情で満たされていった。
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真裏(プロフ) - 犬田さん» 原作に近い性格を目指して頑張ってます!嬉しいです、ありがとうございます！ (2018年12月23日 10時) (
レス) id: a0b96c91a2 (このIDを非表示/違反報告)
犬田(プロフ) - 物間くん！！！って感じですごいきゅんきゅんします大好きです！！！頑張ってください！！ (2018年12月6日 8時) (レス) id: 4889f7f66e (このIDを非表示/違反報告)
真裏(プロフ) - くじらさん» 応援ありがとうございます！物間君かっこいいですよねぇ… (2018年9月24日 9時) (レス) id: a0b96c91a2 (このIDを非表示/違反報告)
くじら(プロフ) - 物語めっちゃ好きです…物間くん推しなので楽しく見させてもらってます！これからも応援してます！ (2018年9月24日 1時) (レス) id: 346b0ed4c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真裏 | 作成日時：2018年9月5日 18時
