十三粒目 ページ14
私の家は、おそらく裕福な部類に入っている。
父親がおもちゃメーカーの社長、母親は立派な科学者。
その二人から生まれてきた私は自然に両親の職を目指していた。
まぁ、今はその夢を半分叶えたようなものだから、あんまり関係ないのかな。
四歳の時、周りの子供たちと同様に私にも個性が表れた。
昔はオールマイトのようなパワー系個性に憧れたものだ。
でも、パワーの代わりに目覚めたのは人を幸福にも不幸にもしてしまう忌々しい個性。
少なくとも、私からしたらそんなイメージだ。
深紅の絨毯に足を引っ掛けて転んでしまった時。
まだまだ幼い私は驚きと痛覚で泣きだしてしまった。
この日までは、私はちゃんと涙を流していた。もちろん液体で。みんなと同じだった。
だけど、その液体としての涙の代わりに絨毯に零れたのは、色とりどりの宝石だった。
＿＿＿＿おかしい、何かが違う。
幼いながらにして私はそう感じた。キラキラと私の顔と光を反射させるこの物体は、いつもの涙とは別物なんだと。
パニックに陥った幼少期の私は大声で泣き叫んだ。号哭のそれだった。
駆け寄った両親は私を抱きかかえて、大丈夫かと声をかけた。けれど絨毯に落ちる宝石と私の瞳を凝視すると、
彼らの目の色が変わった。
実際に色が変わった訳ではない。あくまでも表現上の話。
今までの一人娘としての私を見る目じゃなく、金儲けの対象としての目に変わった。
その目は私に有無を言わせない目。一瞬で背すじが凍るのを感じた。
それから両親は、扱いこそ変わらないものの、わざと私が嫌いなものを見せるようになったり、たまに暴力だって振ってきた。痛かった。
どうしてこの前まで仲良く暮らしていたのに、こんな扱いを受けなければいけないのかと、自決をしようと思ったこともあった。
それが個性のせいなのだと気がついたのは中学一年生の冬。
両親が箱いっぱいの宝石を誰かに売っているのを見てしまったんだ。
私のティアドロップジュエリーのおかげで両親は幸福になるけど、私は不幸になってしまう。
だから、忌々しいのだ、この個性が。
人に見せた時、両親のような目をされるんじゃないかと、今も怯えている。
それが例え明ちゃんだったとしても、お世話になっている先生だとしても、私のことを信用してくれる物間君だとしても＿＿＿＿やっぱり、怖いのだ。
人に見せるべきじゃない。その先にあるのが天国なのか地獄なのか私には分からないから。
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真裏(プロフ) - 犬田さん» 原作に近い性格を目指して頑張ってます!嬉しいです、ありがとうございます！ (2018年12月23日 10時) (
レス) id: a0b96c91a2 (このIDを非表示/違反報告)
犬田(プロフ) - 物間くん！！！って感じですごいきゅんきゅんします大好きです！！！頑張ってください！！ (2018年12月6日 8時) (レス) id: 4889f7f66e (このIDを非表示/違反報告)
真裏(プロフ) - くじらさん» 応援ありがとうございます！物間君かっこいいですよねぇ… (2018年9月24日 9時) (レス) id: a0b96c91a2 (このIDを非表示/違反報告)
くじら(プロフ) - 物語めっちゃ好きです…物間くん推しなので楽しく見させてもらってます！これからも応援してます！ (2018年9月24日 1時) (レス) id: 346b0ed4c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真裏 | 作成日時：2018年9月5日 18時
